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October 27, 2016 Vol. 375 No. 17

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日本における市民による電気ショックと院外心停止
Public-Access Defibrillation and Out-of-Hospital Cardiac Arrest in Japan

T. Kitamura and Others

背景

早期の電気ショックは,院外での心室細動による心停止から生存を改善する重要な役割を果たし,公共の場に設置された自動体外式除細動器(AED)の使用は電気ショックまでの時間を短くすることに役立つ.しかしながら,心室細動による心停止に対する,公共の場における AED 普及の人口レベルでの効果については十分に調査されていない.

方 法

日本における院外心停止患者の国家規模,前向き人口ベース登録から,2005~13 年に市民に目撃された心原性と推定される心室細動を起こし,蘇生を試みられた患者を同定した.主要転帰は,心停止 1 ヵ月後の脳機能カテゴリー(1:良好な脳機能~5:死または脳死)で 1 または 2 で定義される神経学的に良好な転帰を伴う生存とした.市民による電気ショックによって寄与された神経学的に良好な転帰をもつ 1 ヵ月生存者数を見積もった.

結 果

市民目撃の心原性心室細動患者 43,762 例のうち,4,499 例(10.3%)が市民によって電気ショックを受けた.市民による電気ショックを受けた人の割合は,2005 年の 1.1%から 2013 年の 16.5%に増加した(傾向性 P<0.001).神経学的に良好な転帰をもつ 1 ヵ月生存者の割合は,市民による電気ショックあり群がなし群よりも有意に高かった(38.5% 対 18.2%;傾向スコアによるマッチング後の調整オッズ比 1.99,95%信頼区間 1.80~2.19).市民による電気ショックによって寄与された神経学的に良好な転帰をもつ 1 ヵ月生存者の見積数は,2005 年の 6 例から 2013 年の 201 例に増加した(傾向性 P<0.001).

結 論

日本において,市民による電気ショックの実施が増加したことは,院外での心室細動による心停止後の神経学的に良好な転帰をもつ生存者数の増加と関連した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 1649 - 59. )