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September 1, 2016 Vol. 375 No. 9

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HIV-1 伝播予防のための抗レトロウイルス療法
Antiretroviral Therapy for the Prevention of HIV-1 Transmission

M.S. Cohen and Others

背景

HIV 予防試験ネットワーク(HPTN)052 試験の中間解析で,抗レトロウイルス療法(ART)により,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)血清陽性者・陰性者カップル間で,遺伝的に関連のある HIV 1 型(HIV-1)感染が 96%超予防されることが示された.これに基づき,すべての HIV-1 感染者(指標被験者)に ART が提供された.この試験では,HIV-1 伝播予防としての ART 療法の効果の持続性を評価するため,5 年以上の追跡調査を行った.

方 法

指標被験者 1,763 例を,ART を早期に開始する群と,待期的に開始する群に無作為に割り付けた.早期 ART 群 886 例では,治療を登録時(CD4 陽性細胞数 350~550/mm3)に開始した.待期 ART 群 877 例では,2 回連続で CD4 陽性細胞数が 250/mm3 を下回った時点,または後天性免疫不全症候群(AIDS)を示唆する疾患(すなわち AIDS 指標疾患)を発症した時点で開始した.主要エンドポイントは,それまで HIV-1 陰性であったパートナーでの遺伝的に関連のある HIV-1 感染診断とし,intention-to-treat 解析で検討した.

結 果

指標被験者を 10,031 人年,パートナーを 8,509 人年追跡した.試験期間中に 78 例のパートナーで HIV-1 感染が認められた(年間発生率 0.9%,95%信頼区間 [CI] 0.7~1.1).このうち 72 例(92%)でウイルスの遺伝的関連を評価したところ,46 例で関連が認められ(早期 ART 群 3 例と待期 ART 群 43 例,発生率 0.5%,95% CI 0.4~0.7),26 例では認められなかった(早期 ART 群 14 例と待期 ART 群 12 例,発生率 0.3%,95% CI 0.2~0.4).早期 ART は,待期 ART と比較して,パートナー間の遺伝的に関連のある HIV-1 感染のリスクが 93%低いことに関連していた(ハザード比 0.07,95% CI 0.02~0.22).ART により指標被験者の HIV-1 抑制が維持されている場合は,遺伝的に関連のある HIV-1 感染は認められなかった.

結 論

ART の早期開始により,性的パートナー間の遺伝的に関連のある HIV-1 感染の減少は維持された.(米国国立アレルギー感染症研究所から研究助成を受けた.HPTN 052 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00074581)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 830 - 9. )