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February 2, 2017 Vol. 376 No. 5

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鎌状赤血球症の疼痛発作予防のためのクリザンリズマブ
Crizanlizumab for the Prevention of Pain Crises in Sickle Cell Disease

K.I. Ataga and Others

背景

内皮細胞と血小板における P-セレクチンのアップレギュレーションは,血管閉塞と鎌状赤血球関連疼痛の病態発生機序に関与する細胞間相互作用に寄与している.接着分子の P-セレクチンに対する抗体,クリザンリズマブ(crizanlizumab)の安全性と有効性を鎌状赤血球症患者で評価した.

方 法

二重盲検無作為化プラセボ対照第 2 相試験で,患者を,低用量クリザンリズマブ(2.5 mg/kg)を投与する群,高用量クリザンリズマブ(5.0 mg/kg)を投与する群,プラセボを投与する群のいずれかに割り付け,52 週間で 14 回静脈内投与した.併用してハイドロキシウレアの投与を受けている患者も受けていない患者も,試験に組み入れた.主要エンドポイントは,プラセボと比較した高用量クリザンリズマブの鎌状赤血球関連疼痛の年間発生率とした.また,年間の入院日数の割合,1 回目・2 回目の発作までの期間,合併症を伴わない発作(急性胸部症候群,肝臓における赤血球捕捉,膵臓における赤血球捕捉,持続勃起症以外の発作と定義)の年間発生率,急性胸部症候群の年間発症率,および患者報告アウトカムを評価した.

結 果

60 施設で 198 例を無作為化した.発作の年間発生率の中央値は,高用量クリザンリズマブ 1.63 に対し,プラセボ 2.98 であった(高用量クリザンリズマブで 45.3%の低下を示す,P=0.01).1 回目の発作までの期間の中央値は,高用量クリザンリズマブでプラセボよりも有意に長く(4.07 ヵ月 対 1.38 ヵ月,P=0.001),2 回目の発作までの期間の中央値も同様であった(10.32 ヵ月 対 5.09 ヵ月,P=0.02).合併症を伴わない発作の年間発生率の中央値は,高用量クリザンリズマブ 1.08 に対し,プラセボ 2.91 であった(高用量クリザンリズマブで 62.9%の低下を示す,P=0.02).いずれかの実薬投与群で 10%以上に発現し,プラセボ群の 2 倍以上認められた有害事象は,関節痛,下痢,瘙痒,嘔吐,胸痛であった.

結 論

鎌状赤血球症患者のうちクリザンリズマブを投与した例では,プラセボを投与した例と比較して鎌状赤血球関連疼痛の発生率が有意に低下し,有害事象の発現率が低いことに関連した.(Selexys Pharmaceuticals 社ほかから研究助成を受けた.SUSTAIN 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01895361)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 429 - 39. )