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February 2, 2017 Vol. 376 No. 5

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進行した心不全に対する完全磁気浮上型血液ポンプ
A Fully Magnetically Levitated Circulatory Pump for Advanced Heart Failure

M.R. Mehra and Others

背景

連続流型左心補助人工心臓は,進行した心不全患者の生存率を上昇させるが,ポンプ内血栓の発症に関連する.われわれは,血栓を防ぐ設計の新規磁気浮上型連続流型遠心ポンプの効果を検討した.

方 法

進行した心不全患者を,新規連続流型遠心ポンプを植え込む群と市販の連続流型軸流ポンプを植え込む群に無作為に割り付けた.患者は,ポンプ補助の意図された目的(移植までの橋渡しまたは永久使用)を問わず,登録可能とした.主要エンドポイントは,植込み後 6 ヵ月の時点における障害を伴う脳卒中(修正 Rankin スコア>3 の障害を伴う脳卒中;スコアの範囲は 0~6 で,高いほど障害が大きい)のない状態での生存と,デバイスの交換または抜去のための再手術のない状態での生存の複合とした.この試験は主要エンドポイントの非劣性を検証する検出力を有していた(非劣性マージン -10 パーセントポイント).

結 果

294 例のうち,152 例を遠心ポンプ群に,142 例を軸流ポンプ群に割り付けた.intention-to-treat 集団において,主要エンドポイントは遠心ポンプ群の 131 例(86.2%)と軸流ポンプ群の 109 例(76.8%)で発生した(絶対差 9.4 パーセントポイント,95%下側信頼限界 -2.1 [非劣性の P<0.001],ハザード比 0.55,95%信頼区間 [CI] 0.32~0.95 [優越性の両側 P=0.04]).死亡または障害を伴う脳卒中の発生率に群間で有意差は認められなかったが,ポンプの不具合による再手術は遠心ポンプ群のほうが軸流ポンプ群よりも少なかった(1 例 [0.7%] 対 11 例 [7.7%],ハザード比 0.08,95% CI 0.01~0.60,P=0.002).ポンプ内血栓が疑われたか確定した患者は,遠心ポンプ群 0 例,軸流ポンプ群 14 例(10.1%)であった.

結 論

進行した心不全患者において,完全磁気浮上型遠心ポンプの植込みは,軸流ポンプの植込みと比較して 6 ヵ月の時点における転帰が良好であることに関連した.これは主に,ポンプの不具合による再手術の施行率が低かったことに起因した.(St. Jude Medical 社から研究助成を受けた.MOMENTUM 3 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02224755)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 440 - 50. )