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July 20, 2017 Vol. 377 No. 3

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アフリカにおける進行した HIV 感染症に対する強化抗菌薬予防投与と抗レトロウイルス療法の併用
Enhanced Prophylaxis plus Antiretroviral Therapy for Advanced HIV Infection in Africa

J. Hakim and Others

背景

サハラ以南のアフリカでは,進行したヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症患者における抗レトロウイルス療法(ART)開始直後の感染症(結核やクリプトコックス症など)による死亡率は約 10%である.

方 法

ウガンダ,ジンバブエ,マラウイ,ケニアで非盲検要因試験を行い,過去に ART を受けたことがなく,CD4 陽性細胞数 100/mm3 未満で ART を開始した HIV 感染症の成人および 5 歳以上の小児を登録した.対象を,強化抗菌薬予防投与または標準抗菌薬予防投与,ラルテグラビルの追加ありまたはなし,補助食品ありまたはなしに同時に無作為化した.本論文では,強化抗菌薬予防投与の効果を標準抗菌薬予防投与と比較した結果を報告する.強化レジメンではトリメトプリム・スルファメトキサゾールの継続投与に加えて,イソニアジド・ピリドキシン(単一の固定用量配合錠中にトリメトプリム・スルファメトキサゾールと共配合)を 12 週以上,フルコナゾールを 12 週,アジスロマイシンを 5 日,アルベンダゾールを単回投与した.標準レジメンではトリメトプリム・スルファメトキサゾールのみを投与した.主要エンドポイントは 24 週死亡率とした.

結 果

1,805 例(成人 1,733 例,小児または思春期児 72 例)を強化予防投与群(906 例)または標準予防投与群(899 例)に無作為化し,48 週間追跡した(追跡不能 3.1%).ベースラインの CD4 陽性細胞数の中央値は 37/mm3 であったが,854 例(47.3%)は無症候性または軽度の症状であった.24 週の時点における Kaplan–Meier 解析では,強化予防投与群での死亡率は標準予防投与群よりも低く(80 例 [8.9%] 対 108 例 [12.2%],ハザード比 0.73,95%信頼区間 [CI] 0.55~0.98,P=0.03),48 週までにそれぞれ 98 例(11.0%)と 127 例(14.4%)が死亡した(ハザード比 0.76,95% CI 0.58~0.99,P=0.04).強化予防投与群の患者では,結核(P=0.02),クリプトコックス症(P=0.01),口腔・食道カンジダ症(P=0.02),原因不明の死亡(P=0.03),新規入院(P=0.03)の発生率が有意に低かった.しかし,重症の細菌感染症(P=0.32)の発生率に群間で有意差は認められなかった.重篤な有害事象とグレード 4 の有害事象の発生率は,強化予防投与群のほうが,有意ではないが低かった(それぞれ P=0.08 と P=0.09).ウイルス抑制率と ART 遵守率は 2 群で同程度であった.

結 論

免疫抑制が進行した HIV 感染症患者では,強化抗菌薬予防投与を ART と併用することで,ウイルス抑制の低下や毒性作用の増加を伴うことなく,24 週,48 週の両時点における死亡率が低下した.(英国医学研究評議会ほかから研究助成を受けた.REALITY 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN43622374)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 233 - 45. )