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August 31, 2017 Vol. 377 No. 9

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2 型糖尿病におけるリラグルチドと腎転帰
Liraglutide and Renal Outcomes in Type 2 Diabetes

J.F.E. Mann and Others

背景

2 型糖尿病で心血管リスクが高く,標準治療を受けている患者を対象にグルカゴン様ペプチド 1 アナログであるリラグルチドとプラセボとを比較した無作為化比較試験で,主要エンドポイント(非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,心血管系の原因による死亡)と死亡のリスクがリラグルチドにより低下することを明らかにした.しかし,リラグルチドが 2 型糖尿病患者の腎転帰に及ぼす長期的な影響は明らかにされていない.

方 法

患者をリラグルチド投与群とプラセボ投与群に割り付けた同無作為化比較試験の,事前に規定した副次的腎転帰について報告する.副次的腎転帰は,持続性顕性アルブミン尿の新規発症,血清クレアチニン値倍増の持続,末期腎不全,腎疾患による死亡の複合とした.腎転帰のリスクは,intention-to-treat の原則に基づく生存時間(time-to-event)解析を用いて評価した.推算糸球体濾過量とアルブミン尿の変化も解析した.

結 果

9,340 例を無作為化し,追跡期間中央値は 3.84 年であった.腎転帰の発生頻度は,リラグルチド群のほうがプラセボ群よりも低かった(4,668 例中 268 例 対 4,672 例中 337 例,ハザード比 0.78,95%信頼区間 [CI] 0.67~0.92,P=0.003).この結果は主に持続性顕性アルブミン尿の新規発症によるもので,その発生頻度はリラグルチド群のほうがプラセボ群よりも低かった(161 例 対 215 例,ハザード比 0.74,95% CI 0.60~0.91,P=0.004).リラグルチド群とプラセボ群とで,急性腎障害(それぞれ 1,000 患者年あたり 7.1 件と 6.2 件)など,腎有害事象の発現率は同程度であった(1,000 患者年あたり 15.1 件と 16.5 件).

結 論

事前に規定した副次的解析の結果,標準治療にリラグルチドを追加した場合,プラセボを追加した場合と比較して糖尿病性腎疾患の発症率と進行率が低下することが示された.(Novo Nordisk 社,米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.LEADER 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01179048)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 839 - 48. )