The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 12, 2018 Vol. 378 No. 15

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

心不全に対する磁気浮上型心臓ポンプの 2 年後の転帰
Two-Year Outcomes with a Magnetically Levitated Cardiac Pump in Heart Failure

M.R. Mehra and Others

背景

この臨床試験の早期解析では,進行した心不全患者において,磁気浮上型連続流型遠心血流ポンプの使用は,機械的ベアリングを用いた連続流型軸流ポンプと比較して,6 ヵ月の時点での臨床転帰を改善することが認められた.

方 法

進行した心不全患者を対象に,補助の意図された目的(移植までのつなぎまたは恒久的使用)を問わず,遠心ポンプと軸流ポンプとで,非劣性と優越性を比較評価する無作為化試験を行った.主要エンドポイントは,2 年の時点における障害を伴う脳卒中(修正 Rankin スコア [0~6 で,高いほど障害が大きいことを示す] >3 の障害を伴う脳卒中)のない状態での生存と,デバイスの不具合による交換または抜去のための再手術のない状態での生存の複合とした.リスク差(遠心ポンプ群-軸流ポンプ群)の非劣性マージンは-10 パーセントポイントとした.

結 果

366 例のうち,190 例を遠心ポンプ群に,176 例を軸流ポンプ群に割り付けた.intention-to-treat 集団では,主要エンドポイントが達成されたのは遠心ポンプ群で 151 例(79.5%)に対し,軸流ポンプ群では 106 例(60.2%)であった(絶対差 19.2 パーセントポイント,95%下側信頼限界 9.8 パーセントポイント [非劣性の P<0.001],ハザード比 0.46,95%信頼区間 [CI] 0.31~0.69 [優越性の P<0.001]).ポンプの不具合による再手術は遠心ポンプ群のほうが軸流ポンプ群よりも少なかった(3 例 [1.6%] 対 30 例 [17.0%],ハザード比 0.08,95% CI 0.03~0.27,P<0.001).死亡率と障害を伴う脳卒中の発生率は両群で同程度であったが,脳卒中の全発生率は遠心ポンプ群のほうが軸流ポンプ群よりも低かった(10.1% 対 19.2%,ハザード比 0.47,95% CI 0.27~0.84,P=0.02).

結 論

進行した心不全患者において,完全磁気浮上型遠心ポンプは,障害を伴う脳卒中のない状態での生存と,デバイスの不具合による交換または抜去のための再手術のない状態での生存に関して,機械的ベアリングを用いた軸流ポンプに対し優越性を示した.(Abbott 社から研究助成を受けた.MOMENTUM 3 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02224755)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 1386 - 95. )