The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

June 21, 2018 Vol. 378 No. 25

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

集中治療室における家族支援介入の無作為化試験
A Randomized Trial of a Family-Support Intervention in Intensive Care Units

D.B. White and Others

背景

意思決定能力のない急性・重症患者の代理意思決定者は,ケアの目標に関する決定に苦慮することが多い.そのような決定を代理人が行うのは精神的に負担となり,患者の希望に沿わない治療につながる可能性がある.

方 法

5 ヵ所の集中治療室(ICU)に入室した死亡リスクの高い患者とその代理人を対象に,対照期から介入期へ移行する(stepped-wedge)クラスター無作為化試験を行い,多職種の ICU チームが提供する複数項目の家族支援介入と通常ケアとを比較した.主要評価項目は,6 ヵ月の時点での代理人における病院環境への不安と抑うつ尺度(Hospital Anxiety and Depression Scale [HADS];0~42 で,スコアが高いほど症状が重度であることを示す)の平均スコアとした.事前に規定した副次的評価項目は,代理人におけるイベントインパクト尺度(Impact of Event Scale [IES];0~88 で,スコアが高いほど症状が重度であることを示す),コミュニケーションの質(Quality of Communication [QOC])尺度(0~100 で,スコアが高いほど医師と家族のコミュニケーションが良好であることを示す),代理人評価用に修正した患者中心性に関する患者の認識(Patient Perception of Patient Centeredness [PPPC])尺度(1~4 で,スコアが低いほど患者中心・家族中心のケアが行われていることを示す)のスコアの平均と,ICU 平均在室期間とした.

結 果

1,420 例を試験に組み入れた.介入群と対照群で,6 ヵ月の時点での代理人の HADS スコアの平均(それぞれ 11.7 と 12.0,β係数 -0.34,95%信頼区間 [CI] -1.67~0.99,P=0.61)と IES スコアの平均(21.2 と 20.3,β係数 0.90,95% CI -1.66~3.47,P=0.49)に有意差は認められなかった.代理人の QOC スコアの平均は介入群のほうが対照群よりも良好であり(69.1 対 62.7,β係数 6.39,95% CI 2.57~10.20,P=0.001),修正 PPPC スコアの平均も同様であった(1.7 対 1.8,β係数 -0.15,95% CI -0.26~-0.04,P=0.006).ICU 平均在室期間は介入群のほうが対照群よりも短く(6.7 日 対 7.4 日,発生率比 0.90,95% CI 0.81~1.00,P=0.045),これは,死亡例で ICU 平均在室期間が短かったことでもたらされたものであった(4.4 日 対 6.8 日,発生率比 0.64,95% CI 0.52~0.78,P<0.001).

結 論

急性・重症患者とその代理人において,多職種の ICU チームが提供する家族支援介入は,代理人の精神症状の負担に有意な影響を及ぼさなかったが,コミュニケーションの質とケアの患者・家族中心性に関する代理人の評価は,介入群のほうが通常ケア群よりも良好であり,ICU 在室期間も介入群のほうが短かった.(ピッツバーグ大学医療センターヘルスシステム,Greenwall Foundation から研究助成を受けた.PARTNER 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01844492)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 2365 - 75. )