December 27, 2018 Vol. 379 No. 26
Sphingomonas koreensis 感染のクラスターの調査
Investigation of a Cluster of Sphingomonas koreensis Infections
R.C. Johnson and Others
病院の配管システムは,頻度は低いが,入院患者に感染する可能性のある日和見感染の微生物病原体の定着場所として知られる.2016 年に,スフィンゴモナスによる臨床感染を生じたクラスターを契機に調査が促された.
米国国立衛生研究所(NIH)臨床センターで,2006~16 年に同定された多剤耐性 Sphingomonas koreensis の臨床分離株の全ゲノム DNA 配列決定を行った.病院のインフラ内の定着場所を特定する目的で,病室の流し台から得た S. koreensis を培養し,全ゲノム配列決定とショットガンメタゲノム配列決定の双方を行った.これらの分離株を,他の施設から得た S. koreensis の臨床分離株,環境分離株と比較した.
調査により,2016 年のクラスターで同定された 6 例から得た S. koreensis 分離株のうち,2 株には関連がないが,4 株のあいだには 99.92%を超える遺伝的類似性がみられ,複数の抗菌薬に対する耐性が示された.保存されていた NIH 臨床センターのスフィンゴモナスの臨床分離株の後ろ向き解析により,過去 10 年間でクローン株の断続的な出現が示された.S. koreensis 分離株で同定された特有の一塩基多様体から,院内の配管における定着場所の存在が明らかにされた.他の施設の S. koreensis 臨床分離株は,NIH 分離株とは遺伝的に異なっていた.微生物培養と詳細なゲノム解析の結果,院内改善戦略が指導された.
今回のゲノム・疫学調査により,S. koreensis が,多様な時期と場所で NIH 臨床センターのインフラに持続的に存在し,医療関連感染を引き起こした日和見ヒト病原体であることが示唆された.(NIH 所内研究プログラムから研究助成を受けた.)