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April 25, 2019 Vol. 380 No. 17

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芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍に対するタグラクソフスプ
Tagraxofusp in Blastic Plasmacytoid Dendritic-Cell Neoplasm

N. Pemmaraju and Others

背景

芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)は,形質転換し,インターロイキン 3 受容体サブユニットα(IL3RA または CD123)を過剰発現する形質細胞様樹状細胞によって引き起こされる高悪性度の造血器腫瘍である.タグラクソフスプ(tagraxofusp)(SL-401)は,短縮されたジフテリア毒素と融合したヒトインターロイキン-3 で構成される,CD123 を標的とした細胞毒素である.

方 法

非盲検の複数群のコホート研究で,未治療または再発 BPDCN 患者 47 例を,各 21 日サイクルの第 1 日から第 5 日まで,タグラクソフスプの静注を 7μg/kg 体重受ける群と,12μg/kg 体重受ける群に割り付けた.治療は病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで継続した.主要転帰は,BPDCN に対する治療歴のない患者における完全奏効と臨床的完全奏効を合わせた割合とした.副次的転帰は奏効の持続期間とした.

結 果

47 例のうち,32 例が一次治療としてタグラクソフスプの投与を受け,15 例には過去に治療歴があった.患者の年齢の中央値は 70 歳(範囲 22~84)であった.治療歴がなく 12μg/kg のタグラクソフスプの投与を受けた 29 例では,主要転帰は 21 例(72%)に起こり,全奏効率は 90%であった.うち 45%は続いて幹細胞移植を受けた.18 ヵ月生存率は 59%,24 ヵ月生存率は 52%であった.治療歴のある 15 例では,奏効率は 67%で,全生存期間の中央値は 8.5 ヵ月であった.とくに頻度の高かった有害事象は,アラニンアミノトランスフェラーゼ上昇(64%)とアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ上昇(60%),低アルブミン血症(55%),末梢性浮腫(51%),血小板減少症(49%)であった.毛細血管漏出症候群が患者の 19%で報告され,各用量群 1 例の死亡と関連した.

結 論

未治療または再発 BPDCN を有する成人患者において,タグラクソフスプの使用により臨床的奏効が得られた.重篤な有害事象には毛細血管漏出症候群などがあり,肝機能障害と血小板減少症が高頻度にみられた.(ステムライン セラピューティクス社,白血病・リンパ腫学会 治療促進プログラムから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02113982)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 1628 - 37. )