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June 6, 2019 Vol. 380 No. 23

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併存疾患を有する慢性リンパ性白血病患者に対するベネトクラクスとオビヌツズマブ
Venetoclax and Obinutuzumab in Patients with CLL and Coexisting Conditions

K. Fischer and Others

背景

BCL2 阻害薬であるベネトクラクス(venetoclax)は,慢性リンパ性白血病(CLL)患者において活性を示すが,併存疾患を有する患者に対し他の薬剤と併用した場合の有効性は明らかにされていない.

方 法

非盲検第 3 相試験において,併存疾患を有する未治療 CLL 患者に対する,ベネトクラクスとオビヌツズマブによる期間を固定した治療を検討した.累積疾患評価尺度(CIRS)スコア(0~56 で,スコアが高いほど臓器系の機能障害が重度であることを示す)が 6 より高いか,推定クレアチニンクリアランスが 70 mL/分未満の患者を,ベネトクラクス–オビヌツズマブの投与を受ける群とクロラムブシル(chlorambucil)–オビヌツズマブの投与を受ける群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,試験担当医師が評価した無増悪生存期間とした.各レジメンの安全性も評価した.

結 果

432 例(年齢中央値 72 歳,CIRS スコア中央値 8,クレアチニンクリアランス中央値 66.4 mL/分)が無作為化され,各群に 216 例が割り付けられた.追跡期間中央値 28.1 ヵ月の時点で,主要エンドポイントイベント(病勢進行または死亡)はベネトクラクス–オビヌツズマブ群で 30 件,クロラムブシル–オビヌツズマブ群で 77 件発生していた(ハザード比 0.35,95%信頼区間 [CI] 0.23~0.53,P<0.001).24 ヵ月の時点での無増悪生存率の Kaplan–Meier 推定値は,ベネトクラクス–オビヌツズマブ群のほうがクロラムブシル–オビヌツズマブ群よりも有意に高く,88.2%(95% CI 83.7~92.6)に対し 64.1%(95% CI 57.4~70.8)であった.この利益は,TP53 の欠失,変異,またはその両方を有する患者と,未変異の免疫グロブリン重鎖遺伝子を有する患者でも観察された.グレード 3 または 4 の好中球減少がベネトクラクス–オビヌツズマブ群の 52.8%とクロラムブシル–オビヌツズマブ群の 48.1%で発現し,グレード 3 または 4 の感染症がそれぞれ 17.5%と 15.0%で発現した.全死因死亡率はベネトクラクス–オビヌツズマブ群 9.3%,クロラムブシル–オビヌツズマブ群 7.9%であった.これらの差は有意ではなかった.

結 論

併存疾患を有する未治療 CLL 患者において,ベネトクラクス–オビヌツズマブは,クロラムブシル–オビヌツズマブよりも長い無増悪生存期間と関連していた.(エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社,アッヴィ社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02242942)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 2225 - 36. )