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June 13, 2019 Vol. 380 No. 24

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腎症合併 2 型糖尿病におけるカナグリフロジンと腎転帰
Canagliflozin and Renal Outcomes in Type 2 Diabetes and Nephropathy

V. Perkovic and Others

背景

2 型糖尿病は世界中で腎不全の主な原因であるが,有効な長期治療はほとんどない.ナトリウム–グルコース共輸送体 2(SGLT2)阻害薬の心血管系に関する試験では,探索的解析の結果,SGLT2 阻害薬により 2 型糖尿病患者の腎転帰が改善する可能性が示唆されている.

方 法

二重盲検無作為化試験において,2 型糖尿病と,アルブミン尿を認める慢性腎臓病を有する患者を,経口 SGLT2 阻害薬であるカナグリフロジンを 1 日 100 mg 投与する群とプラセボを投与する群に割り付けた.全例が推算糸球体濾過量(GFR) 30~<90 mL/分/1.73 m2 体表面積,アルブミン尿(アルブミン [mg]/クレアチニン [g] 比>300~5,000)であり,レニン–アンジオテンシン系阻害薬による治療を受けていた.主要転帰は,末期腎不全(透析,移植,または推算 GFR<15 mL/分/1.73 m2 の持続),血清クレアチニン倍化,腎臓または心血管系が原因の死亡の複合とした.事前に規定した副次的転帰は階層的に検証した.

結 果

計画されていた中間解析後に,試験はデータ安全性モニタリング委員会の勧告により早期に中止された.その時点で 4,401 例が無作為化されており,追跡期間中央値は 2.62 年であった.主要転帰の相対リスクはカナグリフロジン群のほうがプラセボ群よりも 30%低く,イベント発生率は 1,000 患者年あたりそれぞれ 43.2 件と 61.2 件であった( ハザード比 0.70,95%信頼区間 [CI] 0.59~0.82,P=0.00001).カナグリフロジン群では,末期腎不全,クレアチニン倍化,腎臓が原因の死亡の腎特異的な 3 項目の相対リスクが 34%低く(ハザード比 0.66,95% CI 0.53~0.81,P<0.001),末期腎不全の相対リスクが 32%低かった(ハザード比 0.68,95% CI 0.54~0.86,P=0.002).カナグリフロジン群ではまた,心血管死,心筋梗塞,脳卒中のリスクが低く(ハザード比 0.80,95% CI 0.67~0.95,P=0.01),心不全による入院のリスクが低かった(ハザード比 0.61,95% CI 0.47~0.80,P<0.001).切断と骨折の発生率に有意差は認められなかった.

結 論

2 型糖尿病と腎臓病を有する患者において,追跡期間中央値 2.62 年の時点での腎不全と心血管イベントのリスクは,カナグリフロジン群のほうがプラセボ群よりも低かった.(ヤンセン リサーチ・アンド・ディベロプメント社から研究助成を受けた.CREDENCE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02065791)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 2295 - 306. )