The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

February 7, 2019 Vol. 380 No. 6

急性非代償性心不全に対するアンジオテンシン–ネプリライシン阻害
Angiotensin–Neprilysin Inhibition in Acute Decompensated Heart Failure

E.J. Velazquez and Others

背景

米国では,急性非代償性心不全が,年間 100 万件を超える入院の原因となっている.急性非代償性心不全で入院した患者において,サクビトリル(sacubitril)–バルサルタン療法の開始が安全かつ有効であるかどうかは明らかではない.

方 法

米国の 129 施設で,急性非代償性心不全で入院した駆出率の低下した心不全患者を登録した.血行動態が安定した後,患者を,サクビトリル–バルサルタン(目標用量はサクビトリル 97 mg とバルサルタン 103 mg 1 日 2 回)を投与する群と,エナラプリル(目標用量は 10 mg 1 日 2 回)を投与する群に無作為に割り付けた.主要有効性評価項目は,脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体 N 端フラグメント(NT-proBNP)濃度のベースラインから 4 週までと 8 週までの時間平均変化率とした.主な安全性評価項目は,腎機能悪化,高カリウム血症,症候性低血圧,血管性浮腫の発生率とした.

結 果

無作為化された 881 例のうち,440 例がサクビトリル–バルサルタン群,441 例がエナラプリル群に割り付けられた.NT-proBNP 濃度の時間平均低下量はサクビトリル–バルサルタン群のほうがエナラプリル群よりも有意に大きく,4 週の時点と 8 週の時点で得られた値の幾何平均のベースライン値に対する比は,サクビトリル–バルサルタン群で 0.53 であったのに対し,エナラプリル群では 0.75 であった(変化率 -46.7% 対 -25.3%,サクビトリル–バルサルタン群のエナラプリル群に対する変化率の比 0.71,95%信頼区間 [CI] 0.63~0.81,P<0.001).サクビトリル–バルサルタン群の NT-proBNP 濃度の低下がエナラプリル群よりも大きいことは,1 週の時点(変化率の比 0.76,95% CI 0.69~0.85)から明らかであった.腎機能悪化,高カリウム血症,症候性低血圧,血管性浮腫の発生率に群間で有意差は認められなかった.

結 論

急性非代償性心不全で入院した駆出率の低下した心不全患者において,サクビトリル–バルサルタン療法を開始したところ,エナラプリル療法と比較して NT-proBNP 濃度の低下が大きくなった.腎機能悪化,高カリウム血症,症候性低血圧,血管性浮腫の発生率に群間で有意差は認められなかった.(Novartis 社から研究助成を受けた.PIONEER-HF 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02554890)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 539 - 48. )