The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

February 28, 2019 Vol. 380 No. 9

重症成人患者における気管挿管中のバッグマスク換気
Bag-Mask Ventilation during Tracheal Intubation of Critically Ill Adults

J.D. Casey and Others

背景

低酸素血症は,重症成人患者の気管挿管中に発生する合併症でもっとも多く,心停止と死亡のリスクを上昇させる可能性がある.重症成人患者の気管挿管中に行うバッグマスク装置による陽圧換気(バッグマスク換気)が,誤嚥のリスクを上昇させることなく低酸素血症を予防するかどうかについては議論が続いている.

方 法

米国の 7 ヵ所の集中治療室で行われた多施設共同無作為化試験において,気管挿管を受ける成人を,麻酔導入から喉頭鏡検査までのあいだ,バッグマスク装置による換気を受ける群と受けない群に無作為に割り付けた.主要評価項目は,麻酔導入から気管挿管 2 分後までのあいだに認められた最低酸素飽和度とした.副次的評価項目は重度の低酸素血症の出現とし,酸素飽和度 80%未満と定義した.

結 果

登録患者 401 例において,最低酸素飽和度の中央値はバッグマスク換気群で 96%(四分位範囲 87~99),非換気群で 93%(四分位範囲 81~99)であった(P=0.01).バッグマスク換気群では 21 例(10.9%)に重度の低酸素血症を認めたのに対し,非換気群では 45 例(22.8%)に認めた(相対リスク 0.48,95%信頼区間 0.30~0.77).術者が報告した誤嚥は,バッグマスク換気群では 2.5%に発生し,非換気群では 4.0%に発生した(P=0.41).気管挿管後 48 時間以内の胸部 X 線上の新たな陰影は,それぞれ 16.4%と 14.8%に出現した(P=0.73).

結 論

気管挿管を受ける重症成人患者のうち,バッグマスク換気を受けた患者では,換気を受けなかった患者よりも酸素飽和度が高く,重度の低酸素血症の出現率が低かった.(ヴァンダービルト クリニカル・トレンスレーショナルリサーチ研究所ほかから研究助成を受けた.PreVent 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03026322)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 811 - 21. )