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July 18, 2019 Vol. 381 No. 3

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アフリカ農村部におけるコミュニティヘルスアプローチを用いた HIV の検査と治療
HIV Testing and Treatment with the Use of a Community Health Approach in Rural Africa

D.V. Havlir and Others

背景

全員を対象とする抗レトロウイルス療法(ART)を,年 1 回の集団検診と多疾患に対する患者中心のケア戦略と併用することで,新規のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染を減らし,地域の健康を向上させられる可能性がある.

方 法

ウガンダとケニアの 32 の農村部を,ベースラインで HIV と多疾患の検査を行い,国内ガイドラインに基づく ART を行う群(対照群)と,ベースラインの検査+年 1 回の検査,全員を対象とする ART の適格性の判定,患者中心のケアを行う群(介入群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は 3 年の時点での HIV 感染の累積発生率とした.副次的評価項目はウイルス抑制,死亡,結核,高血圧のコントロール,HIV 感染の年間発生率の変化(介入群でのみ評価)などとした.

結 果

150,395 人を解析対象とした.HIV 感染者 15,399 人における集団レベルでのウイルス抑制率はベースラインで 42%であり,3 年の時点では介入群のほうが対照群よりも高かった(79% 対 68%,相対有病率 1.15,95%信頼区間 [CI] 1.11~1.20).介入群における HIV 感染の年間発生率は 3 年間で 32%低下した(100 人年あたり 0.43 例から 0.31 例に低下,相対発生率 0.68,95% CI 0.56~0.84).しかし,3 年累積発生率(新規 HIV 感染 704 件)に,介入群と対照群とのあいだで有意差は認められなかった(それぞれ 0.77%と 0.81%,相対リスク 0.95,95% CI 0.77~1.17).HIV 感染者では,3 年目までの死亡リスクは介入群で 3%,対照群で 4%であった(100 人年あたり 0.99 件 対 1.29 件,相対リスク 0.77,95% CI 0.64~0.93).HIV 感染者における 3 年目までの HIV に関連する結核または死亡のリスクは,介入群で 4%,対照群で 5%であった(100 人年あたり 1.19 件 対 1.50 件,相対リスク 0.79,95% CI 0.67~0.94).3 年の時点で,高血圧を有する成人の高血圧がコントロールされていた割合は,介入群で 47%,対照群で 37%であった(相対達成率 1.26,95% CI 1.15~1.39).

結 論

全員を対象とする HIV 治療は,標準ケアと比較して,新規 HIV 感染を有意に減少させることはなかったが,これはおそらく,対照群ではベースラインで包括的な HIV 検査が利用可能であったことと,ART の適格性が急速に拡大されたことによるものと思われる.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.SEARCH 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01864603)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 219 - 29. )