The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 22, 2019 Vol. 381 No. 8

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

急性心不全患者に対するセルラキシンの効果
Effects of Serelaxin in Patients with Acute Heart Failure

M. Metra and Others

背景

セルラキシン(serelaxin)は,妊娠中の心血管機能と腎機能の適応に寄与する血管拡張ホルモンである,ヒトリラキシン-2 の遺伝子組換え型である.先行研究から,セルラキシン治療により,急性心不全患者において症状の緩和と良好な転帰が得られる可能性が示唆されている.

方 法

多施設共同二重盲検プラセボ対照イベント主導型試験で,急性心不全のため入院し,呼吸困難,胸部 X 線上のうっ血,血漿ナトリウム利尿ペプチド濃度の上昇,軽度~中等度の腎機能障害を認める,収縮期血圧 125 mmHg 以上の患者を登録し,受診後 16 時間以内に,標準治療に加え,48 時間のセルラキシン静注(30μg/kg 体重/日)群とプラセボ群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは 180 日の時点での心血管系の原因による死亡と,5 日の時点での心不全の悪化の 2 つとした.

結 果

6,545 例を intention-to-treat 解析の対象とした.180 日の時点で,心血管系の原因による死亡はセルラキシン群では 3,274 例中 285 例(8.7%),プラセボ群では 3,271 例中 290 例(8.9%)に生じていた(ハザード比 0.98,95%信頼区間 [CI] 0.83~1.15,P=0.77).5 日の時点で,心不全の悪化はセルラキシン群の 227 例(6.9%)とプラセボ群の 252 例(7.7%)に生じていた(ハザード比 0.89,95% CI 0.75~1.07,P=0.19).180 日の時点での全死因死亡の発生率,180 日の時点での心血管系の原因による死亡または心不全もしくは腎不全による再入院の発生率,指標とした入院期間に 2 群間で有意差は認められなかった.有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.

結 論

急性心不全のため入院した患者を対象としたこの試験では,セルラキシンの静注により,180 日の時点での心血管系の原因による死亡と 5 日の時点での心不全の悪化の発生率がプラセボと比較して低くなることはなかった.(ノバルティス ファーマ社から研究助成を受けた.RELAX-AHF-2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01870778)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 716 - 26. )