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June 17, 2021 Vol. 384 No. 24

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尋常性天疱瘡患者に対するリツキシマブとミコフェノール酸モフェチルとの比較
Rituximab versus Mycophenolate Mofetil in Patients with Pemphigus Vulgaris

V.P. Werth and Others

背景

尋常性天疱瘡の治療にはリツキシマブとミコフェノール酸モフェチルが用いられているが,臨床試験で十分な比較はなされていない.

方 法

無作為化比較試験で,中等症~重症の尋常性天疱瘡患者を,リツキシマブ(1,15,168,182 日目に 1,000 mg)を静脈内投与する群と,ミコフェノール酸モフェチル(2 g/日)を経口投与する群に 1:1 の割合で割り付けた.2 群には,同じ漸減スケジュールでグルココルチコイドの経口投与を行った.主要評価項目は 52 週の時点での完全寛解の維持とし,新たな活動性病変が現れることなく病変が治癒することと定義し,グルココルチコイドを用いずに,天疱瘡重症度判定基準(PDAI)活動性スコア(0~250 で,スコアが高いほど疾患の重症度が高いことを示す)が 16 週間以上 0 であることで判定した.副次的評価項目は,グルココルチコイドの累積投与量,疾患の再燃回数,皮膚科 QOL 指数(DLQI)スコア(0~30 で,スコアが高いほど障害が重度であることを示す)のベースラインからの変化量とした.

結 果

無作為化された 135 例のうち,67 例がリツキシマブ群,68 例がミコフェノール酸モフェチル群に割り付けられた.主要評価項目は修正 intention-to-treat 集団で評価し,リツキシマブ群の 62 例,ミコフェノール酸モフェチル群の 63 例を対象とした.ベースライン時の PDAI 活動性スコアの中央値は,リツキシマブ群 22.7,ミコフェノール酸モフェチル群 18.3 であった.52 週の時点で,完全寛解はリツキシマブ群の 25 例(40%)とミコフェノール酸モフェチル群の 6 例(10%)で維持されていた(差 31 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 15~45,P<0.001).52 週の治療期間中のグルココルチコイドの累積投与量の平均値は,リツキシマブ群 3,545 mg,ミコフェノール酸モフェチル群 5,140 mg であった(差 -1,595 mg,95% CI -2,838~-353,P<0.001).疾患の再燃回数はリツキシマブ群 6 回,ミコフェノール酸モフェチル群 44 回であった(補正率比 0.12,95% CI 0.05~0.29,P<0.001).DLQI スコアの変化量の平均値はそれぞれ -8.87 ポイントと -6.00 ポイントであった(差 -2.87 ポイント,95% CI -4.58~-1.17,P=0.001).重篤な有害事象は,リツキシマブ群 67 例中 15 例(22%)とミコフェノール酸モフェチル群 68 例中 10 例(15%)に発現した.

結 論

リツキシマブは,尋常性天疱瘡患者における 52 週の時点での完全寛解の維持に関して,ミコフェノール酸モフェチルよりも優れていた.グルココルチコイドの使用量はリツキシマブ群のほうがミコフェノール酸モフェチル群よりも大きく減少したが,重篤な有害事象が発現した患者はリツキシマブ群のほうが多かった.52 週を超えて治療した場合のリツキシマブとミコフェノール酸モフェチルとの相対的な有効性と安全性を明らかにするためには,さらなる試験が必要である.(エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社から研究助成を受けた.PEMPHIX 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02383589)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 2295 - 305. )