November 4, 2021 Vol. 385 No. 19
mRNA-1273 SARS-CoV-2 ワクチンの盲検期終了時点における有効性
Efficacy of the mRNA-1273 SARS-CoV-2 Vaccine at Completion of Blinded Phase
H.M. El Sahly and Others
mRNA-1273 ワクチンは,第 3 相観察者盲検プラセボ対照臨床試験の中間解析の時点で,新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の予防に 94.1%の有効性を示した.このワクチンの緊急使用承認後,試験実施計画書が改訂され,その後の期間は非盲検で進められている.盲検期の有効性データと安全性データの最終解析結果を報告する.
Covid-19 の罹患リスクと合併症リスクが高いボランティアを登録した.米国内の 99 施設で,参加者を,mRNA-1273(100 mg)を 28 日間隔で 2 回筋肉内注射する群と,プラセボを注射する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)感染の既往のない参加者における,2 回目の接種後 14 日以降に発症する Covid-19 の予防とした.データカットオフ日は 2021 年 3 月 26 日であった.
30,415 例を試験に登録した.15,209 例が mRNA-1273 ワクチン群に,15,206 例がプラセボ群に割り付けられた.参加者の 96%超が 2 回の接種を受け,2.3%にベースライン時の SARS-CoV-2 感染が確認された.盲検期の追跡期間の中央値は 5.3 ヵ月であった.Covid-19 の予防におけるワクチンの有効性は 93.2%(95%信頼区間 [CI] 91.0~94.8)であり,Covid-19 は mRNA-1273 群の 55 例(1,000 人年あたり 9.6,95% CI 7.2~12.5)と,プラセボ群の 744 例(1,000 人年あたり 136.6,95% CI 127.0~146.8)に認められた.重症 Covid-19 の予防におけるワクチンの有効性は 98.2%(95% CI 92.8~99.6)であり,重症 Covid-19 は mRNA-1273 群の 2 例と,プラセボ群の 106 例に認められた.2 回目の接種後 14 日以降の無症状感染の予防における ワクチンの有効性は 63.0%(95% CI 56.6~68.5)であり,無症状感染は mRNA-1273 群の 214 例と,プラセボ群の 498 例に認められた.ワクチンの有効性は,民族・人種別,年齢別,基礎疾患別のサブグループにおいても一貫していた.安全性の懸念は認められなかった.
mRNA-1273 ワクチンは,2 回目の接種後 5 ヵ月を経過した時点で Covid-19 および重症 Covid-19 の予防に有効であり,安全性プロファイルは許容可能であり,無症状感染に対する防御効果が認められた.(米国生物医学先端研究開発局,米国国立アレルギー・感染症研究所から研究助成を受けた.COVE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04470427)