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July 29, 2021 Vol. 385 No. 5

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閉経後乳癌に対するアロマターゼ阻害薬による術後療法の期間
Duration of Adjuvant Aromatase-Inhibitor Therapy in Postmenopausal Breast Cancer

M. Gnant and Others

背景

閉経後ホルモン受容体陽性乳癌女性において,アロマターゼ阻害薬による術後療法のもっとも有効な期間は明らかにされていない.

方 法

前向き第 3 相試験で,ホルモン受容体陽性乳癌を有し,術後内分泌療法を 5 年間受けた閉経後女性を,アロマターゼ阻害薬アナストロゾールをさらに 2 年間投与する群(2 年群,計 7 年投与)と 5 年間投与する群(5 年群,計 10 年投与)に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは無病生存とした.主要解析は,無作為化後 2 年の時点(2 年群の投与終了時点)で試験参加を継続しており,再発を認めないすべての患者を対象とした.副次的エンドポイントは,全生存,対側乳癌,二次癌,臨床的骨折とした.

結 果

試験に組み入れた 3,484 例のうち,3,208 例が無作為化後アナストロゾールを 2 年間投与した時点で試験参加を継続しており,病勢進行を認めなかった.この主要解析対象集団では,各群 335 例に,(2 年群の投与終了後)8 年の時点で病勢進行または死亡が発生した(ハザード比 0.99,95%信頼区間 [CI] 0.85~1.15,P=0.90).副次的エンドポイントの大部分には群間で差は認められず,サブグループ解析でも特定のサブグループの差は示されなかった.臨床的骨折のリスクは 5 年群のほうが 2 年群よりも高かった(ハザード比 1.35,95% CI 1.00~1.84).

結 論

ホルモン受容体陽性乳癌を有し,術後内分泌療法を 5 年間受けた閉経後女性において,ホルモン療法の 5 年間の延長は,2 年間の延長と比較して利益をもたらさず,骨折のリスクがより高いことに関連した.(アストラゼネカ社,オーストリア乳癌・大腸癌研究グループから研究助成を受けた.ABCSG-16/SALSA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00295620)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 395 - 405. )