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July 29, 2021 Vol. 385 No. 5

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リスジプラムで治療した脊髄性筋萎縮症 1 型を有する乳児と歴史的対照との比較
Risdiplam-Treated Infants with Type 1 Spinal Muscular Atrophy versus Historical Controls

B.T. Darras and Others

背景

脊髄性筋萎縮症(SMA)1 型は進行性神経筋疾患であり,生後 6 ヵ月までに発症すること,支持なしで座位を保持できないこと,運動神経細胞生存(SMN)蛋白が不足していることを特徴とする.リスジプラムは,SMN2 のメッセンジャー RNA 前駆体スプライシングを修飾し,血中の機能性 SMN 蛋白を増加させる経口投与可能な小分子である.

方 法

登録時に生後 1~7 ヵ月であった SMA 1 型の乳児を対象として,リスジプラムの非盲検試験を行った.試験のパート 1(既報)ではパート 2(今回報告)の用量を決定した.パート 2 では,リスジプラムの連日投与の有効性と安全性を,歴史的対照の無治療と比較評価した.主要エンドポイントは,投与開始後 12 ヵ月の時点で支持なしで座位を 5 秒以上保持できることとした.主な副次的エンドポイントは,フィラデルフィア小児病院乳児神経筋疾患検査スコア(CHOP-INTEND;0~64 で,スコアが高いほど運動機能が良好であることを示す)が 40 以上,CHOP-INTEND スコアがベースラインから 4 ポイント以上上昇,ハマースミス乳児神経学的検査・セクション 2(HINE-2)で測定した運動マイルストーン達成効果,永続的人工呼吸管理なしでの生存とした.副次的エンドポイントは,SMA 1 型の乳児 40 例の自然経過に関するデータの 90%信頼区間の上限値と比較した.

結 果

41 例が登録された.投与開始後 12 ヵ月の時点で,12 例(29%)が支持なしで座位を 5 秒以上保持することができた.これは,この疾患では達成されないマイルストーンであった.主な副次的エンドポイントを達成した乳児の割合は,歴史的対照の信頼区間の上限値と比較して,CHOP-INTEND スコア 40 以上が 56% 対 17%,CHOP-INTEND スコアのベースラインから 4 ポイント以上の上昇が 90% 対 17%,HINE-2 運動マイルストーンへの効果が 78% 対 12%,永続的人工呼吸管理なしでの生存が 85% 対 42%であった(すべての比較で P<0.001).とくに頻度の高かった重篤な有害事象は,肺炎,細気管支炎,筋緊張低下,呼吸不全であった.

結 論

SMA 1 型の乳児を対象とした試験で,リスジプラムの投与により,運動マイルストーンを達成した乳児と運動機能の改善を示した乳児の割合が歴史的対照で観察された割合よりも高くなった.SMA 1 型の乳児におけるリスジプラムの長期の安全性と有効性を明らかにするためには,より長期かつ大規模な試験が必要である.(エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社から研究助成を受けた.FIREFISH 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02913482)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 427 - 35. )