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August 19, 2021 Vol. 385 No. 8

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片頭痛の予防的治療のためのアトゲパント
Atogepant for the Preventive Treatment of Migraine

J. Ailani and Others

背景

アトゲパント(atogepant)は経口投与の小分子カルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体作動薬であり,片頭痛の予防的治療として検討されている.

方 法

第 3 相二重盲検試験で,1 ヵ月あたりの片頭痛日数が 4~14 日の成人を,12 週にわたりアトゲパントを経口で 1 日 1 回 10 mg 投与する群,30 mg 投与する群,60 mg 投与する群と,プラセボを投与する群に 1:1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは 12 週間における 1 ヵ月あたりの片頭痛日数の平均値の,ベースラインからの変化量とした.副次的エンドポイントは,1 ヵ月あたりの頭痛日数,1 ヵ月あたりの片頭痛日数の 3 ヵ月間の平均値のベースラインから 50%以上の減少,QOL,片頭痛活動障害・ダイアリー指標(AIM-D)スコアなどとした.

結 果

参加者計 2,270 例がスクリーニングを受け,910 例が組み入れられた.有効性解析の対象は 873 例で,内訳はアトゲパント 10 mg 群 214 例,30 mg 群 223 例,60 mg 群 222 例,プラセボ群 214 例であった.ベースライン時の 1 ヵ月あたりの片頭痛日数の平均値は,4 群で 7.5~7.9 日であった.12 週間におけるベースラインからの変化量は,アトゲパント 10 mg 群 -3.7 日,30 mg 群 -3.9 日,60 mg 群 -4.2 日,プラセボ群 -2.5 日であった.ベースラインからの変化量におけるプラセボとの平均差は,アトゲパント 10 mg 群-1.2 日(95% 信頼区間 [CI] -1.8~-0.6),30 mg 群 -1.4 日(95% CI -1.9~-0.8),60 mg 群 -1.7 日(95% CI -2.3~-1.2)であった(プラセボとのすべての比較で P<0.001).副次的エンドポイントの結果は,アトゲパント 10 mg の AIM-D の日常活動機能スコアと身体障害スコアを除いて,アトゲパントのほうがプラセボよりも良好であった.とくに頻度の高かった有害事象は,便秘(アトゲパントの 3 用量で 6.9~7.7%)と悪心(アトゲパントの 3 用量で 4.4~6.1%)であった.重篤な有害事象は,アトゲパント 10 mg 群における気管支喘息 1 例,視神経炎 1 例であった.

結 論

アトゲパントの 1 日 1 回の経口投与は,12 週間における片頭痛日数と頭痛日数の減少に有効であった.有害事象は便秘,悪心などであった.片頭痛予防に用いるアトゲパントの効果と安全性を明らかにするためには,より長期かつ大規模な試験が必要である.(アラガン社から研究助成を受けた.ADVANCE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03777059)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 695 - 706. )