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February 10, 2022 Vol. 386 No. 6

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早期トリプルネガティブ乳癌に対するペムブロリズマブによる無イベント生存期間
Event-free Survival with Pembrolizumab in Early Triple-Negative Breast Cancer

P. Schmid and Others

背景

早期トリプルネガティブ乳癌患者に対する術前・術後療法へのペムブロリズマブ追加に関するこの第 3 相試験の最初の解析では,術前化学療法にペムブロリズマブを追加することで,根治手術時に病理学的完全奏効(乳房に浸潤癌がなく,リンパ節転移が陰性であることと定義)を得ている患者の割合が有意に上昇した.無イベント生存期間に関する主要な結果は報告していない.

方 法

未治療の II 期または III 期トリプルネガティブ乳癌患者を,術前療法として,ペムブロリズマブ(200 mg)の 3 週ごと投与 4 サイクルとともにパクリタキセルとカルボプラチンを投与し,その後ペムブロリズマブ投与 4 サイクルとともに,ドキソルビシン+シクロホスファミドまたはエピルビシン+シクロホスファミドを投与する群(ペムブロリズマブ+化学療法群)と,ペムブロリズマブの代わりにプラセボを投与する群(プラセボ+化学療法群)に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.根治手術後に,術後療法としてペムブロリズマブ(ペムブロリズマブ+化学療法群)またはプラセボ(プラセボ+化学療法群)の 3 週ごと投与を最大 9 サイクル行った.主要評価項目は,病理学的完全奏効(結果は報告済み)と無イベント生存期間(無作為化から,根治手術不能となる病勢進行,局所・遠隔再発,二次原発癌の発生,または全死因死亡の日までの期間と定義)とした.安全性も評価した.

結 果

無作為化された 1,174 例のうち,784 例がペムブロリズマブ+化学療法群,390 例がプラセボ+化学療法群に割り付けられた.今回計画していた 4 回目の中間解析(データカットオフ日 2021 年 3 月 23 日)の時点で,追跡期間中央値は 39.1 ヵ月であった.36 ヵ月の時点での推定無イベント生存率は,ペムブロリズマブ+化学療法群では 84.5%(95%信頼区間 [CI] 81.7~86.9)であったのに対し,プラセボ+化学療法群では 76.8%(95% CI 72.2~80.7)であった(イベントまたは死亡のハザード比 0.63,95% CI 0.48~0.82,P<0.001).有害事象は主に術前療法期間中に発現し,ペムブロリズマブおよび化学療法について確立されている安全性プロファイルと一致した.

結 論

早期トリプルネガティブ乳癌患者において,術前療法としてのペムブロリズマブ+化学療法,およびその後の術後療法としてのペムブロリズマブの投与により,術前化学療法単独と比較して無イベント生存期間が有意に延長した.(メルク シャープ&ドーム社 [メルク社の子会社] から研究助成を受けた.KEYNOTE-522 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03036488)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 556 - 67. )