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October 13, 2022 Vol. 387 No. 15

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急性脳底動脈閉塞に対する血管内治療の試験
Trial of Endovascular Treatment of Acute Basilar-Artery Occlusion

C. Tao and Others

背景

脳底動脈閉塞による脳梗塞の治療としての,血管内血栓除去術の効果とリスクを検討した試験のデータは限られている.

方 法

中国の 36 施設で,脳底動脈閉塞に対する血管内血栓除去術の多施設共同前向き無作為化比較試験を行った.脳底動脈閉塞の推定発症時刻から 12 時間以内の患者を,血管内血栓除去術を行う群と,最適な内科的治療を行う群(対照群)に 2:1 の割合で割り付けた.主要転帰は 90 日の時点での良好な機能状態とし,修正ランキンスケールスコア(範囲 0 [症状なし]~6 [死亡])が 0~3 であることと定義した.副次的転帰は,修正ランキンスケールスコアが 0 ~2 であること,修正ランキンスケールスコアのカテゴリーの分布,QOL などとした.安全性転帰は,治療後 24~72 時間の症候性頭蓋内出血,90 日死亡率,手技に伴う合併症などとした.

結 果

スクリーニングを受けた 507 例のうち,intention-to-treat 集団は 340 例で,内訳は血栓除去術群 226 例,対照群 114 例であった.静脈内血栓溶解療法は,血栓除去術群の 31%と対照群の 34%に行われた.90 日の時点での良好な機能状態は,血栓除去術群の 104 例(46%)と,対照群の 26 例(23%)に認められた(補正率比 2.06,95% 信頼区間 [CI] 1.46~2.91,P<0.001).症候性頭蓋内出血は血栓除去術群の 12 例(5%)に発生したが,対照群では発生しなかった.副次的臨床転帰と副次的画像転帰の結果は,主要転帰の結果とおおむね同様の方向性を示した.90 日死亡率は,血栓除去術群 37%,対照群55%であった(補正リスク比 0.66,95% CI 0.52~0.82).手技に伴う合併症は血栓除去術群の 14%に発生し,動脈穿孔による死亡 1 例が含まれた.

結 論

脳底動脈閉塞が発生した中国人患者を対象とした今回の試験では,脳梗塞発症後 12 時間以内の血管内血栓除去術により,90 日の時点で最適な内科的治療よりも良好な機能的転帰が得られたが,手技に伴う合併症と,頭蓋内出血に関連した.患者の約 1/3 が静脈内血栓溶解療法を受けた.(中国科学技術大学附属第一医院の革新的研究チームのためのプログラムほかから研究助成を受けた.ATTENTION 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04751708)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 1361 - 72. )