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March 30, 2023 Vol. 388 No. 13

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経腟分娩予定の女性の敗血症または死亡を予防するためのアジスロマイシン
Azithromycin to Prevent Sepsis or Death in Women Planning a Vaginal Birth

A.T.N. Tita and Others

背景

緊急帝王切開時のアジスロマイシンの使用は母体感染を減少させるが,経腟分娩予定の女性に対する効果は明らかにされていない.分娩時のアジスロマイシン経口投与が,母体と児の敗血症または死亡を減少させるかどうかに関するデータが必要である.

方 法

国際共同プラセボ対照無作為化試験で,経腟分娩を予定し,妊娠 28 週以降に分娩を開始した女性を,アジスロマイシン 2 g を単回経口投与する群と,プラセボを投与する群に割り付けた.主要転帰は,母体敗血症,母体死亡の複合と,死産,新生児死亡,新生児敗血症の複合の 2 つとした.中間解析中に母体への利益が認められたため,データ安全性モニタリング委員会が試験の中止を勧告した.

結 果

29,278 例が無作為化された.母体敗血症,母体死亡の発生率は,アジスロマイシン群のほうがプラセボ群よりも低く(1.6% 対 2.4%),相対リスクは 0.67(95%信頼区間 [CI] 0.56~0.79,P<0.001)であったが,死産,新生児死亡,新生児敗血症の発生率は 2 群で同程度であり(10.5% 対 10.3%),相対リスクは 1.02(95% CI 0.95~1.09,P=0.56)であった.母体の主要転帰の差は,主に敗血症の発生率(アジスロマイシン群 1.5%,プラセボ群 2.3%)によるものと考えられ,相対リスクは 0.65(95% CI 0.55~0.77)であったが,全死因死亡の発生率は両群とも 0.1%であった(相対リスク 1.23,95% CI 0.51~2.97).新生児敗血症はそれぞれ 9.8%と 9.6%に発生した(相対リスク 1.03,95% CI 0.96~1.10).死産の発生率は両群とも 0.4%であり(相対リスク 1.06,95% CI 0.74~1.53),生後 4 週間以内の新生児死亡は両群とも 1.5%に発生した(相対リスク 1.03,95% CI 0.86~1.24).アジスロマイシンは,有害事象の発現率がプラセボよりも高いこととは関連しなかった.

結 論

経腟分娩予定の女性では,アジスロマイシンの単回経口投与により,母体の敗血症と死亡のリスクはプラセボと比較して有意に低くなったが,新生児の敗血症と死亡に対する効果はほとんど認められなかった.(ユニス・ケネディ・シュライバー米国国立小児保健・人間発達研究所ほかから研究助成を受けた.A-PLUS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03871491)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 1161 - 70. )