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April 13, 2023 Vol. 388 No. 15

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スタチン不耐の患者に対するベンペド酸と心血管転帰
Bempedoic Acid and Cardiovascular Outcomes in Statin-Intolerant Patients

S.E. Nissen and Others

背景

ATP クエン酸リアーゼ阻害薬であるベンペド酸(bempedoic acid)は,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールを低下させ,筋関連有害事象の発現率が低いことと関連するが,心血管転帰に対する効果は明らかにされていない.

方 法

心血管疾患を有するか,そのリスクが高いものの,許容できない有害事象のためにスタチンを服用できないか,服用したくないという患者(「スタチン不耐」の患者)を対象として,二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った.患者を,ベンペド酸 180 mg を 1 日 1 回経口投与する群と,プラセボを投与する群に割り付けた.主要エンドポイントは 4 項目から成る主要有害心血管イベントの複合とし,心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳梗塞,冠血行再建術と定義した.

結 果

13,970 例が無作為化され,6,992 例がベンペド酸群,6,978 例がプラセボ群に割り付けられた.追跡期間の中央値は 40.6 ヵ月であった.LDL コレステロールのベースライン時の平均値は両群とも 139.0 mg/dL であった.6 ヵ月後に認められた低下量は,ベンペド酸群のほうがプラセボ群よりも 29.2 mg/dL 大きく,減少率の差は 21.1 パーセントポイントで,ベンペド酸のほうが良好であった.主要エンドポイントイベントの発生率は,ベンペド酸群のほうがプラセボ群よりも有意に低く(819 例 [11.7%] 対 927 例 [13.3%],ハザード比 0.87,95%信頼区間 [CI] 0.79~0.96,P=0.004),心血管系の原因による死亡,非致死的脳梗塞,非致死的心筋梗塞の 3 項目の発生率(575 例 [8.2%] 対 663 例 [9.5%],ハザード比 0.85,95% CI 0.76~0.96,P=0.006),致死的/非致死的心筋梗塞の発生率(261 例 [3.7%] 対 334 例 [4.8%],ハザード比 0.77,95% CI 0.66~0.91,P=0.002),冠血行再建術の発生率(435 例 [6.2%] 対 529 例 [7.6%],ハザード比 0.81,95% CI 0.72~0.92,P=0.001)についても同様であった.ベンペド酸は,致死的/非致死的脳梗塞,心血管系の原因による死亡,全死因死亡には有意な影響を及ぼさなかった.痛風,胆石症の発現率はベンペド酸群のほうがプラセボ群よりも高く(それぞれ 3.1% 対 2.1%,2.2% 対 1.2%),血清クレアチニン,尿酸,肝酵素の軽度上昇の発現率についても同様であった.

結 論

スタチン不耐の患者において,ベンペド酸による治療は,主要有害心血管イベント(心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳梗塞,冠血行再建術)のリスクがより低いことと関連した.(エスペリオン セラピューティクス社から研究助成を受けた.CLEAR Outcomes 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02993406)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 1353 - 64. )