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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

April 26, 2001
Vol. 344 No. 17

  • 幼児に対する結合腸チフスワクチンの効能
    The Efficacy of a Conjugate Typhoid Vaccine in Young Children

    結合腸チフスワクチンは,チフス菌の莢膜多糖類(Vi)を,毒性のない遺伝子組み換え緑膿菌外毒素 A に結合して作られた.無作為割付け,二重盲検臨床試験により,この新しいワクチンの評価を,2~5 歳のベトナム人小児 11,091 例を対象に行った.27 ヵ月の試験期間におけるワクチンの効能は 91.5%であった.
    発展途上国において,腸チフスはよくみられ,重篤で,治療の困難さが増大している.約 70%の免疫性しかなく,幼児への予防効果のない現在認可されている腸チフスワクチンよりも,この結合ワクチンは進歩している.しかし,新しいワクチンの乳児に対する免疫原性はまだ明らかではない.

    • 口腔白斑症患者の予後マーカーとしての DNA 量
      The Efficacy of a Conjugate Typhoid Vaccine in Young Children

      口腔白斑症患者の予後マーカーとしての DNA 量

      口腔白斑症の特定の斑状病変が悪性の形質転換を起す可能性を,病変の臨床的ないし組織学的所見によって確かめることは不可能である.病変の DNA 量(倍数性)を検討したこの研究では,異数体病変が癌化する割合は高かった(84%)が,二倍体病変が癌化したのは 3%にすぎなかった.
      この知見は,口腔白斑症の癌化の可能性の問題を解決するかもしれない.この研究からすぐに期待できる臨床的効用は,多くの病理検査室で実施可能な核 DNA の定量的分析により,臨床的ないし顕微鏡的検査では得られない予後情報が入手可能と思われる点である.

      • 小児と青年の不安障害の治療におけるフルボキサミン
        Fluvoxamine for the Treatment of Anxiety Disorders in Children and Adolescents

        小児と青年の不安障害の治療におけるフルボキサミン

        セロトニンの再取り込みを選択的に阻害する薬剤は,成人の不安障害と気分障害の治療に有効である.社会恐怖,分離不安障害,全般的不安障害の小児と青年 128 例を対象とするこの研究では,フルボキサンによる治療は,プラセボと比べて,全般的な評価尺度の改善や不安症状の低下がより大きいという結果だった.そして有害作用はほとんど認められなかった.
        不安障害は,小児の行動的,学業的,社会的発達に,負の影響を及ぼす可能性があり,そしてこの疾患の小児の多くは,治療が行われていないか不十分である.この研究は,こうした状況を改善する小さな一歩を表している.今回の結果は,中枢神経系に作用する薬剤の臨床試験が,小児を対象とする場合でも安全かつ成功裡に実施できることを示している.またフルボキサンが,不安障害の小児に対する有効な治療であることを示している.

        • ヘパリン誘発性血小板減少症
          Heparin-Induced Thrombocytopenia

          ヘパリン誘発性血小板減少症では,ヘパリン治療の開始から 5~10 日後に,血小板数が減少し始めるのが普通である.この研究は,ヘパリン投与開始から数時間以内に血小板数が減少する患者グループの存在を確認した.こうした患者の全例に,ヘパリン投与の既往があった.ヘパリン依存抗体は,血中に 3 ヵ月以上にわたり存続する場合がある.ただしその場合でも,ヘパリン誘発性血小板減少症の既往患者の一部では,その後の心臓ないし血管手術のさいに,短期ヘパリン投与を行うことが可能である.
          ヘパリン誘発性血小板減少症は,よくみられ,問題の多い薬剤反応であり,ヘパリンと血小板第 4 因子の複合体に対する抗体の存在によって生じる.この研究は,こうした薬剤反応の既往患者に対する,ヘパリン治療のリスクを強調している.その一方で,ヘパリン誘発性血小板減少症の既往が,ヘパリン使用に当って絶対的禁忌となるわけではないことも指摘している.

          • 抗結核薬に対する耐性化の世界的動向
            Global Trends in Resistance to Antituberculosis Drugs

            世界保健機関と国際対結核・肺疾患連合が,6 大陸の 58 地域からデータを収集した.新規診断例における多剤耐性の有病率は,中央値では 1%にすぎなかった.しかし,エストニア(14%),中国河南省(11%),ラトビア(9%),ロシアの 2 州の調査地域では,有病率がはるかに高かった.エストニアとデンマークでは,薬剤耐性の有病率が,有意な経時的上昇を示していた.
            この報告は,標準化された方法を用いて,抗結核薬に対する耐性の世界的動向を示している.薬剤耐性の問題は,東欧諸国の一部でとりわけ深刻である.多剤耐性疾患の有病率の上昇は,原発性結核の対策が不適切な証拠である.

            • プライマリケア:心蘇生術
              Primary Care: Cardiac Resuscitation

              プライマリケア:心蘇生術

              この総説は,心室細動と無脈性心室性頻拍の管理に関して,最近改定された勧告に基づくものである.総説の内容として,薬剤使用の概要や,心蘇生術に関する論争,最近の進歩,頻度の高い誤りなどが含まれている.