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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

June 28, 2001
Vol. 344 No. 26

  • 冠動脈イベント予防におけるスタチン療法の目標としての C 反応性蛋白の利用
    Use of C-Reactive Protein to Target Statin Therapy for the Prevention of Coronary Events

    冠動脈イベント予防におけるスタチン療法の目標としての C 反応性蛋白の利用

    C 反応性蛋白値の上昇は,高脂血症が存在しない場合でも,冠動脈イベントのリスク上昇と関連している.スタチン療法により C 反応性蛋白値を下げることが可能である.冠動脈疾患の既往がない対象者 5,742 例を対象とするこの研究では,C 反応性蛋白値の上昇に伴い,冠動脈イベントのリスクが上昇した.ロバスタチン治療により,脂質濃度が正常な場合でも,C 反応性蛋白値が低下し,冠動脈イベントのリスクも低下した.
    今回の結果は,スタチン療法から最大の利益を得る対象者を絞り込むための,新たな方法を示しているかもしれない.脂質濃度が正常な対象者で あっても,C 反応性蛋白値が上昇している者には,スタチン療法がおそらく有益であろう.

    • 超低出生体重児におけるインドメタシンの長期効果
      Long-Term Effects of Indomethacin in Extremely-Low-Birth-Weight Infants

      超低出生体重児におけるインドメタシンの長期効果

      未熟児に対して,動脈管開存の発生頻度を減らし,重症の脳室周囲出血と脳室内出血を予防する目的で,インドメタシンの予防投与が行われることが多い.この研究では,出生時体重が 500~999 g の新生児を無作為に割付け,インドメタシンかプラセボの投与を行った.インドメタシンにより,動脈管開存と重症脳室内出血の発生率が低下したが,18 ヵ月の時点における生存率と神経知覚障害の発生率には差がなかった.
      超低出生体重児に対するインドメタシンには,短期的利益はあるものの,生存率や神経学的発達の改善はみられないことを,今回の研究結果は確認している.治療が有益な新生児を,出生直後に同定することが可能になれば,予防的投与に対する反対論がより強まるであろう.

      • 米国における輸血伝播性マラリア
        Transfusion-Transmitted Malaria in the United States

        米国における輸血伝播性マラリア

        頻度は低いが,米国では感染血液の輸血を通して,今日でもマラリアの感染例を認めることがある.この報告は,1963~99 年の期間に,輸血を通して感染した 93 例のマラリア患者について記述している.熱帯熱マラリア原虫が原因種としてもっとも多く,感染患者 93 例の 11%が死亡した.
        マラリアに対する血液スクリーニングの確立した検査法は存在しないので,感染予防は,問診で得られた情報に基づいて,感染の可能性がある供血者を除外することに頼っている.これは,献血全体の約 3%はマラリア伝播リスクの可能性があるので使用すべきではないことを意味している.

        • 初期感染期における腎症と HIV の腎貯蔵庫の成立
          Nephropathy and Establishment of a Renal Reservoir of HIV during Primary Infection

          初期感染期における腎症と HIV の腎貯蔵庫の成立

          ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)感染関連腎症は,HIV-1 感染患者における慢性腎不全の原因としてもっとも頻度が高い.HIV-1 感染患者 1 例に関するこの臨床的・病理学的報告は,腎症が初期感染期に生ずることがあり,高活性抗レトロウイルス療法によって腎症が消退しうることを示している.しかし,腎上皮細胞における HIV-1 の発現は治療中も持続し,腎臓が重要なウイルスの貯蔵庫となる可能性があることを示唆していた.
          この患者の臨床経過と連続腎生検は,抗レトロウイルス療法が腎症の治癒をもたらしうることの確証を与えている.しかし,ウイルス DNA は,治療前後に採取された生検標本の双方から検出された.この知見は,末梢血の単核細胞や生殖管の細胞と同様,腎臓がウイルスの貯蔵庫となりうるという結論につながるものであり,感染を駆除することがほとんど不可能な理由を説明する一助となる.

          • 医学の進歩:人工呼吸の進歩
            Medical Progress: Advances in Mechanical Ventilation

            医学の進歩:人工呼吸の進歩

            人工呼吸は,多くの重症疾患患者において,決定的な重要性をもつ治療介入である.その主目的は,呼吸負荷を軽減し,低酸素血症と急性呼吸性アシドーシスを改善することである.人工呼吸のもっとも一般的な適応症は,急性呼吸不全,昏睡,慢性閉塞性肺疾患,神経筋障害である.この簡潔な総説では,換気法の種類や,呼吸器から患者を離脱させる方法を含め,人工呼吸に関する現在のアプローチが考察されている.

            • 薬物療法:乳癌の補助療法の副作用
              Drug Therapy: Side Effects of Adjuvant Treatment of Breast Cancer

              薬物療法:乳癌の補助療法の副作用

              乳癌の女性の多くが,補助化学療法(通常は細胞毒性のある薬剤を複数使用),タモキシフェン,放射線療法,あるいはこれら 3 種の併用治療を受ける.この総説では,補助療法の短期と長期の副作用と,副作用の緩和のために実施可能な措置について概説している.