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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

November 8, 2001
Vol. 345 No. 19

  • 危篤患者に対する強化インスリン療法
    Intensive Insulin Treatment for Critically Ill Patients

    危篤患者では高血糖が多くみられるが,インスリン療法による血糖値の正常化で予後が改善するか否か明らかではない.この試験では,外科集中治療室に入室した患者を対象に,強化インスリン療法(血糖値を 80~110mg / dL に維持)と従来の治療を比較した.ほとんどの患者に糖尿病の既往はなかった.強化インスリン治療により,集中治療室の入室期間が 5 日を超える患者の死亡率が低下し,敗血症と急性腎不全による多臓器不全の発生率が減少した.
    糖尿病の既往がない患者でも,強化インスリン治療による血糖値の正常化で,疾病と死亡が減少する.今回の結果は,多施設の臨床試験で確認する必要があるとはいえ,中等度の高血糖に対する強化療法が,危篤患者の予後に顕著な効果があることを示唆するものである.

  • 重症敗血症に対する目標指向療法
    Goal-Directed Therapy for Severe Sepsis

    重症敗血症に対する目標指向療法

    重症敗血症は,頻度の高い臨床的問題であり,高い死亡率と関連している.目標指向療法では,アルゴリズムを用いて中心静脈圧,平均動脈圧,中心静脈酸素飽和度を調節し,全身の酸素供給と酸素必要量の平衡を維持する.この試験では,早期に開始する目標指向療法によって,院内死亡率が 46.5%から 30.5%に低下した.
    目標指向療法の主な特徴は,目標を定めて血管作動性薬と筋変力作用薬を使用し,血流量の増加策と輸血を併用することで,組織の低酸素症により生ずる多臓器不全を予防することである.早期の目標指向療法は,こうした目標を達成し,重症敗血症や敗血症性ショックにおける死亡率を減少させるうえで有望である.

  • 標準放射線療法と追加照射の併用による乳癌治療
    Treatment of Breast Cancer with Standard Radiotherapy plus Additional Radiation

    標準放射線療法と追加照射の併用による乳癌治療

    早期乳癌に対する標準治療は,乳房温存術(通常は乳腺腫瘍摘出術)と,術後の局所放射線療法である.この研究では,腫瘍切除部位の中心を狙った追加的照射(「増強照射」)によって,とくに 50 歳未満の女性における局所再発率が低下することが認められた.
    50 歳未満の女性における早期乳癌の予後は,最適な治療を行った場合でも,より高齢の女性の予後ほど良好ではない.5,000 例を超える患者を対象に行われた,放射線療法に関する今回の無作為割付け試験は,早期乳癌を完全切除した若年女性の治療方法に影響を及ぼすものと思われる.今回の研究では有望な結果が得られたが,放射線の増強照射が局所放射線療法による長期の合併症リスクを上昇させることなく生存率を改善させるか否かを確認するために,長期間の追跡調査を継続する必要がある.

  • 妊孕能のある男性と妊孕能のない男性における精子の特徴
    Sperm Characteristics in Fertile and Infertile Men

    妊孕能のある男性と妊孕能のない男性における精子の特徴

    妊孕能が正常の男性と低下している男性を判別する検査値を同定する目的で,不妊カップルの男性 765 例と,妊娠カップルの男性 696 例を対象に,精子の濃度,運動性,形態を評価した.妊孕能低下に関する検査値の範囲は,精子濃度が 13.5×106 個 / mL 未満,運動能のある精子が 32%未満,形態学的特徴の正常な精子が 9%未満であった.正常な妊孕能に関する検査値の範囲は,精子濃度が>48.0×106 個 / mL,運動能のある精子が>63%,形態学的特徴の正常な精子が>12%であった.しかしながら,すべての検査項目について,不妊カップルの男性と妊娠カップルの男性のあいだに広範な重なりが存在した.
    この研究は,不妊男性の同定に利用可能な,精子の濃度,運動能,形態に関する閾値を設定した.しかし,3 種類の閾値のいずれも,不妊症の診断基準と見なすことはできない.

  • 臨床診療:ヒポコンドリー症
    Clinical Practice: Hypochondriasis

    39 歳の女性が,手足の感覚異常と「腫脹」を含む症状で,繰り返し主治医を受診している.この間の理学的検査や臨床検査の結果は正常だが,患者は納得していない.患者は現在ループスに罹患していることを心配し,リウマチ専門医にすぐに照会するよう要求している.この問題に,どう対処すべきだろうか?
    今回の臨床診療の論説は,ヒポコンドリー症の患者の治療戦略を議論している.

  • 疾患のメカニズム:着床と早期妊娠の継続
    Mechanisms of Disease: Implantation and the Survival of Early Pregnancy

    疾患のメカニズム:着床と早期妊娠の継続

    受精卵の着床と胎盤の形成は,生殖において決定的に重要な段階である.この総説は,これらの段階を媒介する分子的メカニズムの一部や,これらの段階がうまくいかず妊娠が失敗に終る次第を含む,最新の情報を要約している.