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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

November 22, 2001
Vol. 345 No. 21

ORIGINAL ARTICLE

  • 非ステロイド性抗炎症薬とアルツハイマー病
    Nonsteroidal Antiinflammatory Drugs and Alzheimer's Disease

    非ステロイド性抗炎症薬とアルツハイマー病

    55 歳以上の 6,989 例を対象としたこの前向きコホート研究では,非ステロイド性抗炎症薬の長期服用者において,アルツハイマー病のリスクが有意に低下した.これらの薬剤の累積服用期間が 24 ヵ月未満の対象者では有意なリスクの低下はなく,血管性痴呆の発症に対する予防効果を示す証拠もなかった.
    非ステロイド性抗炎症薬は,アルツハイマー病の発症を予防する可能性がある.この研究の強みは,薬剤処方に関するすべてのデータが自動化された薬局データベースで確認されている点にある.

  • プロテアーゼ阻害剤と HIV-1 感染小児における死亡率の低下
    Protease Inhibitors and Reduced Mortality in Children with HIV-1

    ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)に感染した小児と青年 1,028 例のコホート集団において,プロテアーゼ阻害剤を含む併用療法の実施が,1996 年の 7%から 1999 年の 73%に増加した.この 4 年間で死亡率は 5.3%から 0.7%に低下した.今回の分析は,交絡の可能性がある複数の要因に対して補正を行った.著者らは,HIV-1 感染小児にプロテアーゼ阻害剤を含む併用療法を実施すると死亡リスクが 67%減少すると推定している.
    これらのデータは,HIV-1 感染症に対するより新規の治療法の,小児における有効性を確認している.今回の結果は,HIV-1 感染小児の全例に対してこの治療法の利用機会を確保する必要性を強調している.

  • 喘息の成人および小児におけるインフルエンザワクチン接種の安全性
    Safety of Influenza Vaccination in Adults and Children with Asthma

    喘息の成人および小児におけるインフルエンザワクチン接種の安全性

    この二重盲検,プラセボ対照臨床試験は,喘息患者 2,032 例を対象にした.参加者は,不活化インフルエンザワクチンとプラセボの投与を,ランダムな順序で平均 22 日間の間隔で受けた.喘息の増悪頻度は,インフルエンザワクチン接種の 2 週間後でも(28.8%)プラセボ投与後でも(27.7%),同程度であった.
    インフルエンザは,喘息患者における多大な症状と関連する.喘息患者はほとんどインフルエンザワクチン接種を受けないが,その理由の一部には,インフルエンザワクチンによって喘息が増悪するのではないかとの懸念がある.この研究は,重症患者を含む喘息の成人と小児に対して,インフルエンザワクチンの投与が安全であることを示している.

BRIEF REPORT

  • 着床前の比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH 法)による異数性排除後の健常新生児の誕生
    Birth of a Healthy Infant after Aneuploidy Was Ruled Out by Comparative Genomic Hybridization before Implantation

    着床前の比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH 法)による異数性排除後の健常新生児の誕生

    体外受精後に子宮に移植した受精卵は,しばしば子宮への着床に失敗する.多くの症例では,受精卵の染色体異常が着床の失敗の原因である.異数性の診断に関する現行の方法では,染色体異常の多くが検出できない.長期間の不妊歴を有する 38 歳女性に関するこの症例報告は,単一の受精卵の全染色体に異数性がないことを確認するための比較ゲノムハイブリダイゼーションの利用と,その結果実現した健常新生児の誕生について説明している.
    着床前に比較ゲノムハイブリダイゼーションを利用して,移植前に完全な核型の受精卵を得ることで,異数性が原因で着床の失敗を繰り返していた不妊女性の着床率が向上し,最終的には生産率が向上する可能性がある.

CLINICAL PRACTICE

  • 臨床診療:健常な若年成人に対するインフルエンザワクチン接種
    Clinical Practice: Influenza Vaccination for Healthy Young Adults

    臨床診療:健常な若年成人に対するインフルエンザワクチン接種

    オフィスで働く 33 歳の健康な女性が,インフルエンザワクチン接種を受けるべきか否かたずねている.どのような助言を行うべきだろうか?
    この臨床診療の論文は,健康な成人と高リスクの成人に対する,インフルエンザワクチン接種に関する現行の勧告をまとめている.

REVIEW ARTICLE

  • 薬物療法:フェノルドパム ― 選択的末梢ドパミン受容体作動薬
    Drug Therapy: Fenoldopam ― A Selective Peripheral Dopamine-Receptor Agonist

    フェノルドパム(fenoldopam)は末梢で作用するドパミン受容体作動薬であり,血管拡張作用と利尿作用がある.フェノルドパムの静注は,高血圧性脳症や術中高血圧の患者を含む重症高血圧症の患者に対する効果的な治療法である.この総説は,フェノルドパムの薬理学的特徴と,重症高血圧患者の治療薬としての効能について要約している.