The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

December 20, 2001
Vol. 345 No. 25

  • 経口避妊薬と心筋梗塞のリスク
    Oral Contraceptives and the Risk of Myocardial Infarction

    経口避妊薬と心筋梗塞のリスク

    経口避妊薬を服用する女性では,心筋梗塞のリスクが上昇することが,いくつかの研究で示されている.この研究は,とくに第 2 世代と第 3 世代の経口避妊薬に焦点を当てた.第 2 世代のピルの使用により,心筋梗塞のリスクが有意に上昇した;第 3 世代のピルの使用に関する結果は不確定であったが,第 2 世代のピルの場合よりもリスクが低いことを示唆していた.
    第 3 世代の経口避妊薬の使用に関連する心筋梗塞のリスクは,他の経口避妊薬の使用に関連するリスクより低く,リスクをまったく上昇させない可能性もあることを,この研究は示唆している.しかし,喫煙して経口避妊薬を服用する女性では,心筋梗塞のリスクが大きく上昇する.

  • 造血細胞移植における主要組織適合性複合体クラス I の対立遺伝子と抗原
    Major-Histocompatibility-Complex Class I Alleles and Antigens in Hematopoietic-Cell Transplantation

    造血細胞移植における主要組織適合性複合体クラス I の対立遺伝子と抗原

    骨髄移植のドナーを選択するさいの HLA クラス I 抗原の同定には,血清型が通常利用される.しかし,HLA の変異の一部は,対立遺伝子の DNA 塩基配列決定法(対立遺伝子タイピング)でしか同定できない.非血縁ドナーから骨髄移植を受けた 450 例を超える患者では,抗原の不適合のほうが,対立遺伝子の不適合よりも移植片の拒絶反応に関する予測能が高かった.
    HLA 対立遺伝子には,同種抗体を誘導する HLA 分子をコードするものが多数あるが,それ以外に,血清学的に検出されずに DNA 塩基配列決定法によってのみ検出可能なものもある.移植片の拒絶反応を予測するうえでの DNA タイピングの有用性は,これまで証明されていない.厳密に行われたこの研究では,非血縁の骨髄ドナーの選択に対して,血清型のほうが DNA タイピングより優れていることが認められた.この結果は,移植の分野において,広範な実際的意義と理論的意義がある.

  • アセトアミノフェン,アスピリン,および慢性腎不全
    Acetaminophen, Aspirin, and Chronic Renal Failure

    アセトアミノフェン,アスピリン,および慢性腎不全

    非麻薬性鎮痛薬の使用と,慢性腎不全の発症との関連が,疫学研究で示されている.しかし,この関連性が因果的なものであるか否かは明らかではない.今回スウェーデンで行われた,早期慢性腎不全に関する全国規模の人口ベースの症例対照研究では,アスピリンとアセトアミノフェンのいずれか一方の定期的な使用により,慢性腎不全のリスクが 2.5 倍に上昇した.
    アセトアミノフェンとアスピリンは,ほぼすべての原因で生ずる慢性腎不全に対して有害作用があると思われるが,腎不全の素因となる状態に関わる症状のために鎮痛剤を使用したことで生ずるバイアスは除外できない.

  • シクロオキシゲナーゼ阻害薬とアスピリンの抗血小板作用
    Cyclooxygenase Inhibitors and the Antiplatelet Effects of Aspirin

    シクロオキシゲナーゼ阻害薬とアスピリンの抗血小板作用

    アスピリンの抗血小板作用は,シクロオキシゲナーゼの酵素活性を不可逆的に抑制することで生じる.一方,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は,この酵素活性に対する可逆的な抑制薬であり,血小板機能に対して一過性の作用しかない.この研究では,アスピリンの投与前にイブプロフェンの前投薬を行うと,アスピリンの抗血小板作用が阻害されることが認められた.シクロオキシゲナーゼ- 2 阻害薬であるロフェコキシブとアセトアミノフェンには,いずれもこの阻害作用がなかった.
    イブプロフェンのような NSAIDs とアスピリンの同時併用により,アスピリンの心臓保護作用が減弱する可能性があるというのが,この知見の臨床的意義である.2 つの薬剤が同時に使用されることはまれではないので,今回の結果は重要である.

  • 臨床診療:患者はどのようなビタミンを摂ればよいのだろうか?
    Clinical Practice: What Vitamins Should Patients Be Taking?

    臨床診療:患者はどのようなビタミンを摂ればよいのだろうか?

    健康な 54 歳女性が定期検診で受診し,なにかビタミン補給剤を服用すべきか尋ねている.なにを助言すべきだろうか? この論文では,疾病予防に対して,数種類の一般的なビタミン補給剤のいずれかを使用することを支持する知見や,否定する知見をまとめている.

  • 最近の概念:外傷性イベントの結果として現れる睡眠障害
    Current Concepts: Sleep Disturbances in the Wake of Traumatic Events

    外傷性イベントの結果として,睡眠障害の主観的な報告は多い.この総説では,外傷性イベント後における,主観的に同定された睡眠障害と,客観的に確認された睡眠障害の双方について検討している.診断方法と治療選択に関する勧告もまとめられている.