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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

December 27, 2001
Vol. 345 No. 26

ORIGINAL ARTICLES

  • 冠動脈狭窄の検出を目的とした磁気共鳴冠動脈造影法
    Coronary Magnetic Resonance Angiography for the Detection of Coronary Stenoses

    冠動脈狭窄の検出を目的とした磁気共鳴冠動脈造影法

    この研究では,冠動脈疾患に対する非侵襲的検査法である磁気共鳴冠動脈造影法と,侵襲的な標準検査である X 線冠動脈造影法を比較した.磁気共鳴冠動脈造影法により,近位と中位の冠動脈狭窄,とくに 3 枝疾患と左冠動脈主幹部病変が,正確に検出された.この検査法は,冠動脈病変の除外診断にとりわけ有効であった.

    冠動脈疾患の診断に対する正確で非侵襲的なアプローチは,大きな進歩をもたらすものである.その開発の現状において,磁気共鳴冠動脈造影法は,進行した冠動脈疾患を診断し,冠動脈疾患の除外診断を行ううえで有用である.

  • 全身強直性症候群に対する高用量免疫グロブリンの静注投与
    High-Dose Intravenous Immune Globulin for Stiff-Person Syndrome

    全身強直性症候群に対する高用量免疫グロブリンの静注投与

    中枢神経系が障害される疾患である全身強直性症候群には,有効な治療法が存在せず,患者は筋強直や筋痙攣の発作に悩まされる.患者は,抗グルタミン酸脱炭酸酵素(抗 GAD65)抗体が高力価であり,自己免疫的な病因が示唆されている.この研究では,患者 16 例を無作為に割付けて,プラセボまたは免疫グロブリンの静注投与を 3 ヵ月間行い,その後のウォッシュアウト期間を経て,他方の薬剤による治療をさらに 3 ヵ月間行った.臨床試験を完了した患者 14 例のうち 11 例は,実薬投与により病状が顕著に改善した.

    全身強直性症候群で抗 GAD65 抗体を伴う患者に対して,静注免疫グロブリンは,高価ではあるが,安全で有効な治療法である.

  • エプスタイン・バーウイルス感染の血清マーカーと上咽頭癌
    Serologic Markers of Epstein-Barr Virus Infection and Nasopharyngeal Carcinoma

    エプスタイン・バーウイルス感染の血清マーカーと上咽頭癌

    9,700 人近い男性に対して,エプスタイン・バーウイルス(EBV)のカプシド抗原に対する IgA 抗体と,EBV デオキシリボヌクレアーゼに対する中和抗体の検査を行った(いずれの抗体も,上咽頭癌と強く関連している).その後,最長 16 年間追跡調査を行った.抗体の一方または双方が陽性の対象者は,血清陰性の対象者よりも上咽頭癌のリスクがはるかに高かった.

    EBV 感染が,上咽頭癌が発生するはるか以前に生ずるだけではなく,上咽頭癌の重要な危険因子でもあるという確実な証拠を,今回の大規模な前向き疫学研究は示している.この研究で使用した抗体による高リスク集団のスクリーニングは,上咽頭癌の早期診断の手助けになりうる.

BRIEF REPORT

  • 腫瘍誘発性骨軟化症に対するオクトレオチド療法
    Octreotide for Tumor-Induced Osteomalacia

    腫瘍誘発性骨軟化症に対するオクトレオチド療法

    この短報は,リン酸塩尿症と低リン酸塩血症を合併する,腫瘍誘発性骨軟化症というまれな症候群の 1 患者について報告している.良性血管周囲細胞腫を外科的に無事摘出する前に,合成ソマトスタチン類似化合物であるオクトレオチドにより,ホスファトニンが原因と考えられる腎でのリン酸塩漏出が消失した.

    リン酸塩の代謝には,ソマトスタチン受容体が介在する可能性のある分泌機序が関与することを,この患者のオクトレオチド療法に対する反応は示唆している.このことが,病的な状態下でのみ当てはまるのか,正常状態でも意義があるのかは,今後明らかにすべき問題である.

MEDICAL PROGRESS

  • 頭頸部癌
    Head and Neck Cancer

    頭頸部癌

    頭頸部癌には,口腔,咽頭,および喉頭の新生物が含まれる.これらの癌のリスクには,喫煙と飲酒が強く関連している.頭頸部癌の病理発生と進行に関する分子学的な理解に,重要な進歩がみられている.手術,放射線療法,化学療法の革新を含めて,治療アプローチにも重要な進歩が認められる.