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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

April 18, 2002
Vol. 346 No. 16

ORIGINAL ARTICLES

  • 生体外遺伝子治療による X 染色体連鎖重症複合免疫不全症の継続的な回復
    Sustained Correction of X-Linked Severe Combined Immunodeficiency by ex Vivo Gene Therapy

    生体外遺伝子治療による X 染色体連鎖重症複合免疫不全症の継続的な回復

    X 連鎖重症複合免疫不全症の男児 5 例に対し,遺伝子治療を行った.この疾患では,遺伝子の突然変異により,T 細胞とナチュラルキラー細胞の発生に不可欠な 5 種類のサイトカイン受容体の構成要素である共通γ(γc)鎖の機能が失われる.この疾患は,骨髄移植により治療を行わなければ,生後 1 年以内に死にいたる.4 例で免疫系が再構築された.この 4 例は依然として良好な状態であり,経過観察期間 2 年まで,追加治療の必要がなかった.

    この報告は,レトロウイルスベクターを用いて,欠損している正常なγc 遺伝子を生体外で自家造血幹細胞に導入することにより,致死的な先天性疾患の治療に成功しためずらしい例について述べている.このタイプの遺伝子治療は,造血系が関与する他の先天性疾患にも適用できる可能性がある.

  • バイパス移植片でのステント内再狭窄に対する血管内照射
    Intravascular Radiation for In-Stent Restenosis in Bypass Grafts

    バイパス移植片でのステント内再狭窄に対する血管内照射

    伏在静脈を用いたバイパス移植片の閉塞病変は,冠動脈バイパス術で頻度の高い長期合併症の一つである.ステント留置はよく行われているが,再狭窄により効果は限定的である.このプラセボ対照臨床試験では,冠動脈バイパス移植片でのステント内再狭窄の予防を目的とした血管内γ線照射療法を評価した.放射線療法は,12 ヵ月の期間中に,再狭窄率とその後の血行再建率を低下させた.

    結果は有望であるものの,効果が持続し血管損傷や新生物のような遅発性合併症が生じないことを確証するのに,長期追跡が欠かせないであろう.

  • エリスロマイシン耐性 A 群連鎖球菌
    Erythromycin-Resistant Group A Streptococci

    エリスロマイシン耐性 A 群連鎖球菌

    ピッツバーグの小学校における経時的研究において,2001 年 1 月に監視用咽頭培養でエリスロマイシン耐性の A 群連鎖球菌が予期せずに同定された.2001 年 5 月まで,分離株のほぼ半数がエリスロマイシン耐性であり,耐性分離株を有する小児 46 例中 22 例では,この耐性連鎖球菌陽性の培養が複数あった.

    エリスロマイシン耐性 A 群連鎖球菌感染のこの明らかなクローン性の集団発生は,米国でのこの菌の感受性パターンにおける臨床的に重大な変化の前兆である.この変化は,マクロライド系抗菌薬の使用増加の結果かもしれない.

BRIEF REPORT

  • 手術創におけるカポジ肉腫の発現
    Development of Kaposi's Sarcoma in a Surgical Wound

    短報:手術創におけるカポジ肉腫の発現

    口内乾燥症と耳下腺腫脹を有するヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者が口唇唾液腺の診断生検を受けた.6 日以内に生検部位に急速に成長した肉芽腫塊が発現した.病変はカポジ肉腫の組織像をもち,ヒトヘルペスウイルス 8 の抗原を含有していた.局所放射線療法後,病変は消散した.

    手術創におけるカポジ肉腫はまれである.炎症促進性サイトカインと血管新生因子がこの HIV 感染患者において病変の発現を促す役割を果したのではないかと著者は推測している.

CURRENT CONCEPTS

  • 住血吸虫症
    Schistosomiasis

    住血吸虫症

    住血吸虫症は寄生虫感染症であり,74 ヵ国約 2 億人が罹患している.治療と管理法が大きく進歩したにもかかわらず,この熱帯病は新しい地域に広がり続けている.この総説は,この疾患の症状,診断,内科療法,予防,およびワクチンに関する見通しについてまとめている.

MEDICAL PROGRESS

  • 非アルコール性脂肪肝疾患
    Nonalcoholic Fatty Liver Disease

    非アルコール性脂肪肝疾患

    アルコール乱用は脂肪肝疾患のもっとも一般的な原因であるが,現在,肝臓における脂肪の蓄積およびその結果が,アルコールを乱用しない場合にも起りうることが明らかになっている.主な危険因子は肥満,インスリン非依存性糖尿病,高脂血症である.この疾患には,無症候性の脂肪症から脂肪肝炎,線維症,肝硬変に及ぶ幅広い臨床状態がある.この論文は,ますます認識されるようになったこの肝疾患を広く概説している.