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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 23, 2002
Vol. 346 No. 21

  • BRCA 突然変異を有する女性におけるリスク減少のための卵管卵巣摘出術
    Risk-Reducing Salpingo-oophorectomy in Women with BRCA Mutations

    BRCA 突然変異を有する女性におけるリスク減少のための卵管卵巣摘出術

    卵巣癌と乳癌のリスクを大幅に増加させる BRCA1 または BRCA2 突然変異を有する女性 170 例の研究では,98 例が卵管卵巣摘出術を,72 例がサーベイランスを選択した.約 2 年間の追跡調査中,手術施行群のほうがサーベイランス群に比べて乳癌および卵巣癌のリスクが顕著に低かった.
    この前向き研究の知見は,BRCA1 または BRCA2 遺伝子に病因となる突然変異を有する女性におけるリスク減少のための卵巣摘出術の後ろ向き研究の所見を補足する(1616 ページ参照).いまや医師には,そのような突然変異保因女性から標的組織を切除することを勧めるのに説得力のある裏付けがある.

  • BRCA 突然変異を有する女性における予防的卵巣摘出術
    Prophylactic Oophorectomy in Women with BRCA Mutations

    最低 8 年追跡した BRCA1 または BRCA2 遺伝子に疾患関連性の突然変異を有する女性 551 例では,卵巣癌の発生率は予防的両側卵巣摘出術施行群のほうが,手術非施行の対照群に比べ有意に低かった.これら女性のサブグループでは,予防的卵巣摘出術は乳癌のリスクをも減少させた.
    卵巣癌の高リスクにある女性の大規模集団を対象としたこの後ろ向き分析は,BRCA1 または BRCA2 遺伝子に疾患関連性の突然変異を有する女性における予防的卵巣摘出術に有利な説得力のある証拠を提供する.そのような突然変異を有する女性それぞれに対して,手技のリスクや効果,および受精能の保持についてカウンセリングすることは必須である.この研究は,Kauff らによる前向き分析(1609 ページ参照)を補足している.

  • 食事制限による体重減少または胃バイパス手術後の血漿中グレリン濃度
    Ghrelin Levels after Diet-Induced Weight Loss or Gastric Bypass

    食事制限による体重減少または胃バイパス手術後の血漿中グレリン濃度

    胃バイパス手術を受けた患者は,劇的かつ持続的に体重が減少する.これらの患者は依然として高カロリー食品をおいしいと感じるが,食後の空腹感が少ない.グレリンは,正常被験者では食前に増加し食後に減少する,摂食亢進ホルモンである.胃バイパス手術後体重が安定した患者を対象としたこの試験では,循環血中のグレリン濃度が低く,食事に関連した周期性を示さなかった.
    グレリンは食欲と満腹感の双方に影響する可能性がある.研究者らの仮説が正しいと証明されれば,グレリンの合成や作用を阻害することが,食欲抑制に寄与し,体重減少を促進できる可能性がある.

  • 高地肺水腫の予防のためのサルメテロール
    Salmeterol for the Prevention of High-Altitude Pulmonary Edema

    高地肺水腫の予防のためのサルメテロール

    高地肺水腫は,その他の点では健康な人が高地にいる場合に起る.β アドレナリン作動薬は,動物モデルにおいて肺胞液クリアランスを上昇させ,肺水腫を減弱させることから,この研究グループは,高地肺水腫の傾向を示す被験者 37 人を対象に,吸入サルメテロール( β アドレナリン作動薬)とプラセボの効果を検討した.さらに,高地肺水腫に感受性を示す登山家 33 人と抵抗性を示す登山家 33 人を対象に,遠位気道における液体クリアランスのマーカーである鼻の経上皮電位差を検討した.サルメテロールの予防的吸入により,高地肺水腫に感受性を示す被験者において発症率が半減した.鼻の経上皮電位差は,感受性を示す被験者で有意に低かった.
    ナトリウム駆動性肺胞液クリアランスの欠陥は,ヒトにおける高地肺水腫の発生に重大な影響をもち,治療標的を示す可能性がある.

  • 筋萎縮性側索硬化症患者による死期の決定
    End-of-Life Decisions by Patients with Amyotrophic Lateral Sclerosis

    オランダの医師が,筋萎縮性側索硬化症患者の死亡に関する質問票に回答した.患者 203 例のうち 35 例(17%)が安楽死を選択し,その方法で死亡した.別の 6 例は医師の幇助を伴う自殺により死亡した.安楽死や医師幇助自殺の選択は,患者の収入や教育水準とは関連がなかった.
    オランダでは,厳密なガイドラインに従う場合には,医師幇助死が許可されている.この研究は,この進行性神経疾患患者の 5 人に 1 人が,安楽死または医師幇助自殺による死を選択したという事実を示している.

  • Clinical Practice:アタマジラミ
    Clinical Practice: Head Lice

    Clinical Practice:アタマジラミ

    学校の看護師がアタマジラミを発見後,8 歳の少女は帰宅させられた.シラミ寄生のないことが文書で証明されるまで登校は許可されない.同級生への感染リスクを最小にして少女を復学させるには,どのような治療法がもっとも適当であろうか?