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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

December 5, 2002
Vol. 347 No. 23

ORIGINAL ARTICLES

  • 心房細動における心拍コントロールと調律コントロール
    Rate Control or Rhythm Control for Atrial Fibrillation

    心房細動における心拍コントロールと調律コントロール

    心房細動の治療法には 2 種類ある:心房細動を持続させたまま行う心拍コントロールと,電気的除細動と抗不整脈薬を用いる調律コントロールである.この北米での研究は,一般的に行われている方法に反して,調律コントロールには生存に関する利点がなく,心拍コントロールよりも,高い有害薬剤作用発生率に関連していることを明らかにした.

    心房細動は相当の罹患率と死亡率に関連している.この試験は,本誌今週号のもう 1 つの類似した試験(1834 ページ参照)と共に,このよくみられる不整脈の管理法を変えるであろう.調律コントロールと比較して,心拍コントロールはこれまで正しく評価されていなかった.

  • 持続性心房細動における心拍コントロールと調律コントロール
    Rate Control or Rhythm Control for Persistent Atrial Fibrillation

    この研究は,今週号で報告されている心房細動に関する北米での研究の,欧州版である.欧州での研究は規模が小さかったが,この 2 つの研究の知見は非常によく似ていた.心拍コントロールは調律コントロールに比べ劣ってはおらず,持続性心房細動の管理には適切であると考えるべきである.

    欧州と北米の研究結果は,相互に確証しあうものであり,これらは共に,持続性心房細動に対する治療法として心拍コントロールは受容しうるものであり,場合によってはより適切であるというすぐれた根拠を提示している.いずれの治療法でも,抗凝固療法は継続すべきである.

  • リンパ性フィラリアを撲滅する
    Eliminating Lymphatic Filariasis

    リンパ性フィラリアを撲滅する

    パプアニューギニアで,約 2,500 人の住民が,年 1 回の抗フィラリア薬投与を 4 年間受けた場合の効果を検証する前向き研究に参加した.ミクロフィラリア陽性の割合は 86~98%減少し,陰嚢水腫の頻度は 15%から 5%に減少した.

    この研究では,全住民に対する年 1 回の集団治療により,ミクロフィラリアの保有をほぼ撲滅することができ,蚊によって伝播するバンクロフト糸状虫感染によるリンパ性異常を大幅に減らすことが示された.小児での新たな感染は,研究期間中にほぼ消散した.

SPECIAL ARTICLE

  • 移民における潜在性結核の管理の改善
    Improving the Management of Latent Tuberculosis in Immigrants

    移民における潜在性結核の管理の改善

    世界中で,抗結核薬に対する耐性パターンには大きなばらつきがある.この決定分析研究は,地域特異的な薬剤耐性プロファイルに関するデータを組み込んだ.米国への新たな移民における潜在性結核の発見と適切なレジメンでの治療は,7 地域からの移民の場合には経費を節減するものであり,ほかの発展途上国からの移民に対しては費用効果が高いことが,結果から示された.

    この分析は米国に焦点を当てているが,結果は,外国生まれの人に多くの結核症例が発生している先進国にとっても重要な意味をもっている.最適な治療の決定には,新たな移民の出生国における薬剤耐性パターンについてわかっていることを反映させるべきである.スクリーニングは,移民に対しては健康面での恩恵,ヘルスケアシステムに対しては経費節減につながる可能性がある.

CLINICAL PRACTICE

  • 潜在性結核感染症
    Latent Tuberculosis Infection

    潜在性結核感染症

    最近ペルーから移住してきた 44 歳の男性は,ツベルクリン皮膚試験で 16 mm の硬結がある.幼児期に BCG ワクチンを接種しており,症状はない.胸部 X 線撮影では,上葉に線維化結節陰影を認める.別の症例で,米国生まれの 27 歳の教師は,ツベルクリン皮膚試験で 17 mm の硬結があり,症状はなく,胸部 X 線写真は正常である.これらの症例をどのように管理すべきであろうか?

REVIEW ARTICLE

  • ゲノム医学:遺伝子検査
    Genomic Medicine: Genetic Testing

    ゲノム医学:遺伝子検査

    古典的な遺伝子検査は,ハンチントン病あるいは多発性内分泌腺腫症 II 型のような,まれではあるが浸透性の高い疾患と関与する DNA 変異の存在を,直接的あるいは間接的に明らかにする.この論文では,これらの古典的検査について概説するだけではなく,新規の遺伝子検査が,特定の疾患にとっての危険因子であるとより論理的に考えられた DNA 変異体の存在を,どのように明らかにできるかについても述べている.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 意外な容疑者
    The Unusual Suspect

    意外な容疑者

    17 歳の男児が,左側胸膜痛で目が覚めたという.陸上競技の練習中に,軽度の呼吸困難もあるという.その後数ヵ月のあいだに,重度の起坐呼吸を伴う安静時呼吸困難に進行した.