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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

April 17, 2003
Vol. 348 No. 16

ORIGINAL ARTICLES

  • 鉛濃度と知的障害
    Lead Concentration and Intellectual Impairment

    10 μg/dL(0.483 μmol/L)未満の鉛濃度と知的障害の関係はよくわかっていない.この前向き研究では,母親の IQ とその他の可能性のある交絡因子で補正したところ,生後早い時期に複数回測定した血中鉛濃度の最高値が 1 μg/dL から 10 μg/dL に増加することが,5 歳時の IQ の 7.4 ポイントの減少と関連していた.

    これらのデータは,血中鉛濃度がたとえ 10 μg/dL 未満であっても,認知機能の発達に悪影響を与える可能性を示唆しており,鉛曝露の一次予防の目標をさらに支持している.

  • 鉛濃度と思春期の遅延
    Lead Concentration and Pubertal Delay

    この横断研究では,体格指標と他の交絡因子で補正後,血中鉛濃度の軽度の上昇(3 μg/dL 対 1 μg/dL)が,アフリカ系アメリカ人とメキシコ系アメリカ人少女の乳房と陰毛の発達の有意な遅延,およびアフリカ系アメリカ人少女の初潮年齢の有意な遅延と関連していた.高い鉛濃度に関連した思春期の遅延は,白人少女では有意ではなかった.

    前向き研究での確認が必要であるが,これらの知見は,血中鉛濃度の軽度の上昇が,思春期の発現に影響を与える可能性を示唆しており,環境中の鉛への曝露をさらに減少させるための取り組みを支持している.

  • パクリタキセル溶出冠動脈ステント
    Paclitaxel-Eluting Coronary Stents

    パクリタキセル溶出冠動脈ステント

    冠動脈ステント留置の有効性は,新生内膜増殖過程により開始される再狭窄によって制限される.パクリタキセルは,前臨床試験において新生内膜増殖を阻害することが明らかにされている抗増殖剤である.この無作為試験では,パクリタキセルでコーティングした冠動脈ステントが,新生内膜増殖とステント内再狭窄を予防した.

    先行研究では,シロリムス(ラパマイシン)でコーティングした冠動脈ステントが冠動脈再狭窄の予防に非常に効果があることが示されている.今回の試験により,再狭窄を予防し,冠動脈ステント留置の転帰を大いに改善する可能性のある薬剤のリストに,もう 1 つの有用な抗増殖剤が加わった.

  • 1979~2000 年の米国における敗血症
    Sepsis in the United States,1979-2000

    7 億 5,000 万件を超える急性期入院からの退院記録に関するこの解析から,敗血症の発生率が 1979~2000 年で 2 倍以上になっていることが示された.しかし全死因死亡率は,研究の初期の 28%から,より最近では 18%へと減少した.1988 年からグラム陽性菌が敗血症を引き起す主な病原菌となっている.

    敗血症の転帰は改善されているが,集団間に大きな格差が存在する.白人以外における発生率と死亡率は,白人のほぼ 2 倍である.

SPECIAL ARTICLE

  • 外来ケアにおける薬剤有害事象
    Adverse Drug Events in Ambulatory Care

    4 ヵ所の成人プライマリケア診療施設におけるこの研究では,処方を受けた患者の 25%で薬剤有害事象が発生した.致命的あるいは生命を脅かす事象はなかったが,患者の約 4%に重篤な有害事象が発現した.多くの有害事象は,別の薬剤が選択されていれば防止できた可能性があり,また薬剤に関連した症状が発現した時点でその薬剤を中止すれば回復した可能性がある.

    この研究は,有害事象が外来患者によくみられ,その多くは回避できることを示唆している.

CURRENT CONCEPTS

  • アメーバ症
    Amebiasis

    赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)の感染は,アメーバ性大腸炎や,肝膿瘍などの合併症を引き起すことがある.この総説では,感染の病因と治療,およびワクチン開発への見通しに関する最近の研究をまとめている.粘膜の IgA 反応は E. histolytica 感染への部分的な防御免疫を形成しうる.

HEALTH POLICY REPORT

  • メディケア(老人医療保険制度)と薬価
    Medicare and Drug Pricing

    この報告の著者 Iglehart は,外来患者に投与された薬剤,たとえば化学療法薬などに対する,メディケアの医師への過払いに関する討議について述べている.腫瘍専門医はメディケアから受け取る償還額よりも安い価格で薬剤を購入していることを認めているが,自分たちの専門的サービスと診療費に対して十分に支払われていないと主張している.均衡が必要とされるむずかしい問題に直面して,政策立案者は,メディケアの薬剤への支払い方法の改革に取り組むうえで,メディケア受給者,医師,および大衆の利益を比較検討する必要がある.

CORRESPONDENCE

  • 再発性多発性硬化症に対する Natalizumab

  • 活動性クローン病に対する Natalizumab

  • 敗血症 ― 理論と治療

  • 産後の早期退院を禁止する法律の影響

  • 医師以外の臨床従事者による医療の動向

  • 集団スクリーニング

  • 一過性脳虚血発作

  • 一過性脳虚血発作 ― 提案された新たな定義

  • 冠攣縮性一過性単眼失明のビデオ画像による再構成