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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

April 24, 2003
Vol. 348 No. 17

ORIGINAL ARTICLES

  • 過体重,肥満および癌死亡
    Overweight, Obesity, and Death from Cancer

    過体重,肥満および癌死亡

    過剰な体重は,全死因死亡および心血管疾患死亡のリスクを高める.肥満が癌死亡のリスクも高めることを示唆する証拠もある.90 万人以上の男女を対象としたこの前向き研究では,肥満が,全癌死亡およびいくつかの特定部位の癌死亡において,有意なリスク因子であることを確認している.

    この研究は,肥満が,心疾患や糖尿病だけでなく,癌死亡のリスクにも関与しているという証拠を追加している.著者らは,全成人が体格指数(BMI)を 25 未満に維持できれば,米国では毎年 9 万人の癌死亡を予防できると推定している.

  • オーストラリアにおける小児心筋症
    Childhood Cardiomyopathy in Australia

    心筋症は,小児においてしばしば悲惨な結果をもたらす.オーストラリアで行われたこの研究で,10 歳未満の小児における 1987~96 年の罹患率は,年間 10万人当り 1.24 例であること明らかになった.拡張型心筋症の症例では,リンパ球性心筋炎が病因として重要であった.肥大型心筋症は拡張型心筋症の約 5 割程度の発症頻度であった.左室心筋緻密化障害として知られる心筋障害も認められた.

    この研究は,本誌今週号の米国の報告と共に,小児心筋症の罹患率の精度を高めるうえで重要である.2 ヵ国の罹患率データはきわめて類似しており,小児心筋症の疫学に関する理解を深めるものである.

  • 米国における小児心筋症
    Pediatric Cardiomyopathy in the United States

    小児の心筋症は,しばしば心臓移植や死亡をもたらす重篤な疾患である.この研究は,ニューイングランド地方とテキサス州,オクラホマ州,アーカンソー州で 1996~99 年に登録された症例に基づいている.全体の年間罹患率は小児 10万人当り 1.13 例であったが,罹患率は乳児で他の年齢群よりもはるかに高かった.また,拡張型心筋症と肥大型心筋症が多くみられた.罹患率は,男子で女子よりも高く,黒人で白人よりも高かった.

    本誌今週号のオーストラリアの研究から得られたデータと併せると,これらの疫学データは,小児心筋症の問題の重要性を明確にし,心筋症の各病型を定量化し,発症リスクがある小児群を同定するのに有用である.

  • 腫瘍性骨軟化症と X 連鎖低リン血症における線維芽細胞増殖因子 23
    Fibroblast Growth Factor 23 in Oncogenic Osteomalacia and X-linked Hypophosphatemia

    線維芽細胞増殖因子 23(FGF-23)は,腎臓によるリン酸調節に関与すると思われる.この因子は腫瘍性骨軟化症と X 連鎖低リン血症において上昇すると考えられており,著者らは,この問題を検討するための免疫測定法を開発した.

    FGF-23 は健常人でも容易に検出できたが,腫瘍性骨軟化症や X 連鎖低リン血症性くる病の患者では顕著に上昇していた.このことは,FGF-23 がリン酸の恒常性に役割を果している可能性を示唆している.

BRIEF REPORT

  • アッシャー症候群:よくみられる創始者変異
    The Usher Syndrome: A Prevalent Founder Mutation

    アッシャー症候群は,難聴や併発する盲目の主な原因であり,アシュケナージ・ユダヤ人において発症率が高い.この研究の著者らは,おそらく 350 年前に起った,もっともよくみられる型のアッシャー症候群タイプ 1 における創始者変異を明らかにした.

    この疾患では,言語習得前難聴が網膜色素変性より先に起る.学習や自立には適切な訓練やリハビリテー ションが不可欠であるため,アシュケナージ系の難聴の小児は,アッシャー症候群タイプ 1 に対する早期の遺伝子検査によって恩恵を受けるだろう.

CLINICAL PRACTICE

  • 乳癌スクリーニング
    Breast-Cancer Screening

    乳癌や卵巣癌の家族歴のない健常な 44 歳の女性が,マンモグラフィについて質問をしている.18 ヵ月前に受けたスクリーニングでのマンモグラフィ画像は正常であったが,最近,マンモグラフィが有用でない可能性があることを読んで知った.医師はどのような助言をすべきであろうか?

MEDICAL PROGRESS

  • 臓器移植後の皮膚癌
    Skin Cancers after Organ Transplantation

    皮膚癌は臓器移植を受けた患者で非常によくみられる癌である.この総説は,臓器移植を受けた患者における扁平上皮癌や基底細胞癌,肛門性器部位の癌,カポジ肉腫,黒色腫,皮膚の神経内分泌癌,およびリンパ腫の皮膚症状に関する疫学,病因,管理について述べている.

CORRESPONDENCE

  • 乳癌における遺伝子発現特性

  • ネフロン数と原発性高血圧

  • アルコールと冠動脈疾患

  • テトラヒドロビオプテリンと軽度のフェニルケトン尿症

  • 術後の器具およびガーゼの置き忘れ

  • ハレルフォルデンと歴史

  • 腕回旋症候群