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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

January 9, 2003
Vol. 348 No. 2

ORIGINAL ARTICLES

  • 原発性高血圧患者のネフロン数
    Nephron Number in Patients with Primary Hypertension

    原発性高血圧患者のネフロン数

    出生時のネフロン数が相対的に少ないことは,個々のネフロンの負担が増加した結果として腎臓に徐々に障害を与える可能性があるため,高血圧発症の主因として提唱されている.著者らは,原発性高血圧または左室肥大(あるいはその両方)の既往を有する中年の白人患者 10 例の糸球体の組織学的所見および数と体積を,正常血圧の対照者 10 例と比較することによってこの仮説を検証した;対象者は全員事故で死亡していた.高血圧患者は対照者と比較し,糸球体数が少なく,糸球体体積が大きく,細動脈硬化症がより重症であった.
    このデータは,原発性高血圧患者の一部ではネフロン数が少ないという仮説を支持している.

  • アルコール摂取のパターンと冠動脈性心疾患
    The Pattern of Alcohol Consumption and Coronary Heart Disease

    中等度のアルコール摂取が,冠動脈性心疾患を予防することは広く認められている.男性におけるこの大規模研究は,飲酒パターンと,摂取するアルコールの種類の役割を評価することにより,新たな情報をもたらしている.週に 3~4 回以上飲酒する男性では,心筋梗塞のリスクが減少した.その関連性は,この集団で摂取された主なアルコールの種類であるビールと蒸留酒において,もっとも高かった.
    より高頻度のアルコール摂取(週最低 3~4 日)で冠動脈疾患の予防効果が高まるという概念は新しいが,肝毒性や外傷リスクの増加といった,飲酒による有害な影響の認識により抑えられている.

  • ペルーのリマにおける多剤耐性結核の治療
    Treatment of Multidrug-Resistant Tuberculosis in Lima, Peru

    この報告は,慢性多剤耐性結核患者に対する地域ベースの外来治療プログラムについて述べている.個人に合せた治療を最低 4 ヵ月完了した患者 66 例中 55 例では,ほぼ確実な治癒が達成された.転帰が不良であることの予測因子は,低ヘマトクリット値および低体格指数であった.
    このプログラムは,多剤耐性結核に対する有効な外来治療が,経済的に恵まれない地域において可能であることを示している.今回の結果は,低所得国では多剤耐性結核の治療は高価すぎて,専門施設以外では実施不可能である,といういままでの見解に反している.

SPECIAL ARTICLE

  • 米国における医師以外の臨床従事者による医療の動向
    Trends in Care by Nonphysician Clinicians in the United States

    1987 年と 1997 年の全米患者調査からのデータを用いたこの研究では,医師以外の臨床従事者(ナース・プラクティショナー,補助医師,理学療法士など)への受診数がこの期間に増加していることが示されている.この増加は,医師と医師以外の臨床従事者の両者から医療を受けた患者の割合が増加していることによって説明された.
    1987~97 年に医師以外の臨床従事者を受診した患者の増加は,医師への受診に替わるものというよりも,医師への受診を補うものであった.

MEDICAL PROGRESS

  • 敗血症の病態生理と治療
    Pathophysiology and Treatment of Sepsis

    敗血症は,米国において重体患者の主要な死因である.しかし,敗血症に対する個々の宿主生体反応は変化しやすく,患者の免疫反応,年齢,栄養状態,合併症状,病原体の毒性および感染の規模に影響される.この概説では,進歩しつつある敗血症の概念を検討し,新規の可能性のある治療法について述べている.最近の臨床的進歩には,活性化プロテイン C を用いた治療,血糖の厳密な管理,および細胞の酸素欠乏を治療するための早期の目標指向型治療がある.将来の治療では,特定の病原体の特性,患者の遺伝子プロファイル,および罹病期間をふまえた免疫反応の調節に焦点がおかれるであろう.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 敗血症症候群における補体 C5a
    Complement C5a in the Sepsis Syndrome

    敗血症症候群における補体 C5a

    敗血症では,補体系の活性化により多量の C5a が循環血中へはいる.この過剰なペプチドが好中球を麻痺させ,感染への感受性を高めている.一方組織内では,C5a は感染を防御する好中球に影響を与えている.循環血中に存在する C5a の抗体による中和は,動物モデルにおいて敗血症による致命的な影響を防御する.