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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 29, 2003
Vol. 348 No. 22

ORIGINAL ARTICLES

  • 北米および南米における HIV-1 感染に対するエンフュービルタイド
    Enfuvirtide for HIV-1 Infection in North and South America

    エンフュービルタイド(enfuvirtide,T-20)は,糖蛋白質 41 に結合し,ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)の CD4+細胞への侵入を阻害するペプチドである.この無作為非盲検試験では,エンフュービルタイドと最適化抗レトロウイルス療法の併用治療を受けた患者で,ウイルス量の減少と CD4+細胞数の増加量が有意に大きかった.好酸球増加がよくみられる所見であった;細菌性肺炎は,エンフュービルタイド群でより高頻度に認められた.
    この 24 週間の試験は,標準療法が失敗したあとの HIV-1 感染治療用薬剤として新規クラスに属する,初の薬剤の有効性を示している.安全性と有効性に関する長期試験が必要である.

  • 欧州および豪州における HIV-1 感染に対するエンフュービルタイド
    Enfuvirtide for HIV-1 Infection in Europe and Australia

    この欧州と豪州で行われた無作為試験には,エンフュービルタイド(enfuvirtide)群の患者 335 例と,最適化抗レトロウイルス療法のみで治療した対照群患者 169 例が組み入れられた.すべての患者が以前に複数の薬剤による抗 HIV 療法を受けていた.24 週間後,エンフュービルタイド群で血漿中のウイルス量がより大きく減少し,CD4+細胞数がより大きく増加した.
    この HIV-1 融合阻害剤の安全性に関しては長期試験が必要であるが,これらの結果は,以前に大量の投薬を受けた集団でかなり有効であるという証拠を示している.

ORIGINAL ARTICLE

  • 臓器移植後の西ナイルウイルス感染
    West Nile Virus Infection after Organ Transplantation

    この調査は,ある 1 例のドナーから臓器提供を受けた 4 例のレシピエントにおける重症の西ナイルウイルス感染を立証している.3 例のレシピエントは脳炎を発症した.ドナーの感染の原因として可能性があるのは,西ナイルウイルスによるウイルス血症を起した献血者からの輸血であった.
    この報告は,移植臓器と輸血血液の両方による西ナイルウイルスの伝播を立証し,西ナイルウイルス感染のスクリーニング検査を改良する必要性を強調している.

BRIEF REPORT

  • 鎌状赤血球症における悪性貧血
    Pernicious Anemia in Sickle Cell Disease

    この症例報告は,鎌状赤血球症の女性について述べている.この女性は定期的に葉酸を補充していたためコバラミン欠乏の発現が隠され,神経精神的な合併症が進行し,有痛性クリーゼの発生頻度が上昇していた.
    鎌状赤血球症患者における葉酸補充の定期的な使用は,再検討されるべきである.

SPECIAL ARTICLE

  • 退役軍人局保健医療制度における地域化と血管造影の過少実施
    Regionalization and the Underuse of Angiography in the VA Health Care System

    退役軍人局(VA)保健医療制度は,指定病院で心臓血管造影などの侵襲的処置を提供している.心筋梗塞後の心臓血管造影の過少実施は,出来高払いのメディケアサービス患者よりも VA 患者で多いことがこの研究により示された.この差は,現場での心臓カテーテル法が実施可能かどうかで説明がついた.
    必要な医学的処置が十分に行われないことは,侵襲的処置を大規模病院に集中させるという方策が抱える潜在的欠点である.

  • 退役軍人局保健医療制度の改革がケアの質に与えた効果
    Effect of the Transformation of the VA Health Care System on the Quality of Care

    ケアの効率と質を向上させるために,1995 年,退役軍人保健局は,情報技術の利用の増加,実績評価や報告,支払い規定の再編,そしてサービスの統合を盛り込んだプログラムを開始した.このプログラムの実施後,予防的ケア,急性期および長期的ケアの質は大いに向上した.
    ケアの質を向上させるための大規模で組織的な取組みは,VA の制度における多くの欠点を克服した.

  • HIV-1 の細胞への侵入機序に基づく新しい治療法
    Novel Therapies Based on Mechanisms of HIV-1 Cell Entry

    HIV-1 の細胞への侵入機序に基づく新しい治療法

    ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)酵素の阻害剤は HIV-1 感染治療の中心であるが,耐性ウイルスの出現が依然として問題である.新たなアプローチは,ウイルスエンベロープと細胞表面との融合を防ぐことにより,ウイルスの細胞への侵入を妨害することである.この総説は,HIV-1 が細胞に侵入する方法と,ウイルスの細胞への侵入を阻むために可能性のある方法を概説している.
    この総説は,ウイルスエンベロープと細胞表面との融合を防ぐ,HIV-1 に対する臨床活性を有するペプチド,エンフュービルタイド(enfuvirtide)に関する本誌今週号の 2 本の論文を補足している.

CORRESPONDENCE

  • 栄養補助食品の不適切な広告

  • ヒト成長ホルモンと老化

  • 造影剤に誘発される腎症

  • 選択的エストロゲン受容体調節因子

  • マッチングは違法か?

  • インフォームド・コンセント書式のわかりやすさ

  • 医療過誤を減らすための研修医の提案

  • 心臓破裂

  • 慢性骨髄性白血病の診断時にイマチニブ耐性を与える突然変異