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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

October 30, 2003
Vol. 349 No. 18

ORIGINAL ARTICLE

  • 症候性肺塞栓症に対するフォンダパリヌクス
    Fondaparinux for Symptomatic Pulmonary Embolism

    症候性肺塞栓症に対するフォンダパリヌクス

    フォンダパリヌクスは,凝固因子 Xa を選択的に阻害する五糖類である.フォンダパリヌクスは,皮下注射で投与し,血中濃度のモニタリングを必要としない.この大規模試験では,症候性肺塞栓症の初期治療において,フォンダパリヌクスと未分画ヘパリンとを比較した.フォンダパリヌクスはヘパリンと同程度に有効かつ安全であった.
    フォンダパリヌクスは,血行動態の安定した症候性肺塞栓症患者の初期治療において,静脈内ヘパリンの代替薬として用いられる可能性がある.

  • 人工膝関節全置換術後の静脈血栓塞栓症予防に関するキシメラガトランとワーファリンの比較
    Ximelagatran versus Warfarin to Prevent Venous Thromboembolism after Total Knee Replacement

    人工膝関節全置換術後の血栓症予防に関し,トロンビン阻害薬キシメラガトランの経口投与の有効性をワーファリンと比較した.キシメラガトランは 24 mg または 36 mg を 1 日 2 回,ワーファリンは国際標準比 2.5 を目標に,両剤とも術後 7~12 日間投与した.静脈血栓症予防に関し,高用量のキシメラガトランはワーファリンよりも優れていた.
    キシメラガトランは凝固モニタリングが不要なため,固定用量での投与が可能である.この薬の短期有効性は期待できるが,長期の抗凝固作用についてはまだ明らかにされていない.

  • 静脈血栓塞栓症の二次予防のためのキシメラガトラン
    Ximelagatran for the Secondary Prevention of Venous Thromboembolism

    トロンビンを直接阻害するキシメラガトランは,経口投与が可能で,その使用には凝固モニタリングを必要としない.この研究では,ワーファリンによる静脈血栓塞栓症の治療を 6 ヵ月間受けた患者を,キシメラガトランまたはプラセボのいずれかに無作為に割付けた.その後 18 ヵ月間,キシメラガトラン群では出血の発生率も増加することなく,プラセボ群よりも血栓塞栓症の再発エピ ソードが大幅に少なかった.
    二次予防のためのキシメラガトランとワーファリンは,治療についての結論を出す前に直接的な比較を行う必要がある.さらに,一部の患者でキシメラガトラン治療によりアラニンアミノトランスフェラーゼ値が上昇したことは,さらに詳しい評価が必要とされる問題である.

  • 散発性副甲状腺癌における HRPT2 遺伝子の体細胞変異および生殖細胞系変異
    Somatic and Germ-Line Mutations of the HRPT2 Gene in Sporadic Parathyroid Carcinoma

    副甲状腺癌に対する感受性を特徴とする家族性症候群ではパラフィブロミン遺伝子(HRPT2)が変異していることから,副甲状腺癌の散発症例でこの変異を探索した結果,変異が発見された.さらに,見かけ上は散発性の副甲状腺癌患者の一部に HRPT2 の生殖細胞系変異が認められた.
    HRPT2 の変異は,副甲状腺癌の原因となる役割をもつと考えられる.見かけ上は散発性の症例でこの遺伝子の生殖細胞系変異が発見されたことから,浸透度の低い家族性症候群に変異型が存在することが示唆され,変異遺伝子の保因者で遺伝子検査を行うことの意義に関して疑問が提起される.

CURRENT CONCEPTS

  • 水銀の毒性学
    The Toxicology of Mercury

    水銀の毒性学

    水銀中毒は,事故による曝露や職業的曝露の結果として,いまもなお発生している.しかし,一般住民にとっての主な懸念は,魚類の摂取,歯科アマルガムの使用,ワクチンの保存料として使用されているチメロサールにより,水銀曝露の有害作用の可能性があることである.この総説では,メチル水銀,水銀蒸気,チメロサールに含まれるエチル水銀への曝露を取り巻く事実と論争について簡潔に述べている.

DRUG THERAPY

  • 統合失調症
    Schizophrenia

    統合失調症は,さまざまな不穏な症状を示し,一般に後期青年期または早期成人期に発症し,一生続くことが多い.この “Drug Therapy”では,新世代の抗精神病薬について述べ,脳の画像検査,およびこの破滅的な疾患の病態生理学と分子遺伝学の知識における,最近の進歩についても述べている.
    統合失調症は人口の 1%が罹患しており,さまざまな進歩にもかかわらず,依然として不可解な疾患である.統合失調症により患者やその家族,そして社会には大きな負担がかかっている.

SOUNDING BOARD

  • 脳性麻痺は予防できるか?
    Can We Prevent Cerebral Palsy?

    この結論には,脳性麻痺を医師の医療過誤と関連付ける,多くの申し立てに対する法医学的な意義がある.