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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

November 25, 2004
Vol. 351 No. 22

ORIGINAL ARTICLES

  • 成人における臍帯血移植と骨髄移植
    Transplantation of Cord Blood or Bone Marrow in Adults

    非血縁ドナーから造血幹細胞移植を受けた成人白血病患者において,その転帰を比較した.患者は,それぞれ HLA 適合骨髄,HLA 1 座不一致の骨髄,HLA 1 座不一致の臍帯血,HLA 2 座不一致の臍帯血のいずれかの移植を受けた.転帰は,HLA 適合骨髄のレシピエントでもっとも良好であったが,HLA 不一致の骨髄や臍帯血のレシピエントでもほぼ同等であった.
    この研究結果は,成人白血病患者に対する造血幹細胞移植の供給源として,臍帯血が臨床的に有益であることを支持するものである.

  • 成人における非血縁ドナーからの臍帯血移植と骨髄移植の比較
    Cord-Blood versus Bone Marrow Transplants from Unrelated Donors in Adults

    この論文では,非血縁ドナーから骨髄または臍帯血の移植を受けた,急性白血病の成人患者の主な転帰を比較している.臍帯血シピエントで好中球の回復が遅延し,移植片対宿主病のリスクが低下したことを除けば,臍帯血移植と骨髄移植の結果はほぼ同等であった.
    臍帯血移植が開始された当初は,臍帯血 1 単位当りの造血幹細胞数が少ないため,白血病治療を目的とした移植の対象は小児に限定されていた.しかし,ここ数年のうちに,臍帯血を成人に移植できることが明らかになった.

  • 低用量のインフルエンザワクチンの皮内接種に対する反応
    Responses to Reduced-Dose Influenza Vaccine Given Intradermally

    無作為試験において,健常成人 238 例が,候補インフルエンザワクチンの標準用量の筋肉内接種か,40%の用量の皮内接種のいずれかを受けた.抗体反応は,18~60 歳の被験者では皮内接種群と筋肉内接種群で同程度であったが,61 歳以上の被験者ではやや弱かった.
    ワクチン供給が不足している場合,少なくとも 60 歳以下の健常成人では,低用量のインフルエンザワクチンの皮内接種は効果的な戦略となる可能性がある.

  • 低用量のインフルエンザワクチンの皮内接種
    Intradermal Injection of Reduced- Dose Influenza Vaccine

    この試験では,18~40 歳の健常成人 50 人が,標準用量の 1/5 量のインフルエンザワクチンの皮内接種を受けた.その結果生じた赤血球凝集抑制反応の抗体価の増加は,50 人の対照被験者に行った標準用量ワクチンの筋肉内接種と少なくとも同程度であった.
    ワクチンの接種量を減らして使用することは,限られたワクチンの供給を拡大させる方法の 1 つである可能性がある.しかし,乳児や高齢者,重度の疾患を有する人では,同様な目覚しい反応はみられない可能性がある.

  • 冠動脈バイパスにおける橈骨動脈グラフトと伏在静脈グラフトの比較
    Radial-Artery versus Saphenous-Vein Grafts for Coronary Bypass

    橈骨動脈は,1971 年にはじめて冠動脈バイパスグラフトとして使用された.しかし,伏在静脈グラフトと比較した橈骨動脈グラフトの開存率については,相反する報告がなされている.この研究では,橈骨動脈グラフトは,対照とした伏在静脈グラフトよりも 1 年目の時点での開存率が高かった.その優位性は,重度の狭窄病変がある冠動脈に橈骨動脈を移植した場合にとくに顕著であった.この研究は,重度の狭窄がある血管に対しては,橈骨動脈を冠動脈バイパスとして使用することを支持している.

CURRENT CONCEPTS

  • 高血圧性網膜症
    Hypertensive Retinopathy

    高血圧性網膜症

    この総説では,血圧の上昇によって網膜循環で起る病態生理学的変化について解説する.最近の研究では,網膜にみられるある特定の徴候が,高血圧とは独立して,脳卒中の強力な予測因子であることが示されている.網膜症の程度を同定することは,臨床医が最適な治療を行い,心血管疾患や死亡を防ぐうえで役立つ可能性がある.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 尿道下裂と発育障害を呈する生後 23 日の乳児
    A 23-Day-Old Infant with Hypospadias and Failure to Thrive

    尿道下裂と発育障害を呈する生後 23 日の乳児

    ある男児で,出生時に重度の尿道下裂と形態の不明瞭な外性器が認められた.男児は,生後 1 週間の時点ですでに,少量の授乳でさえ嘔吐するようになった.診察では,母体感染や胎児感染,毒素への出生前の曝露は認められなかった.検査では,わずかな顔面形成異常と,身体中心部と四肢の筋緊張の低下がみられた.診断検査が行われた.

SOUNDING BOARD

  • 家族歴 ― これまでになく重要
    The Family History - More Important Than Ever

    家族歴は,医学部で代々教えられてきた基本的な診察の一部であるが,相応の注目を浴びないことが多い.この論文では,著者らは,ゲノム医学の時代には家族歴の十分な聴取が重要であることを指摘し,家族歴の記録に役立つよう,患者がダウンロードして使用できるコンピュータツールを提供している.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 乳癌と薬剤耐性
    Breast Cancer and Drug Resistance

    新しい研究で,トラスツズマブ(ハーセプチン)が癌の進行を阻止する機序が明らかにされている.その知見では,治療に反応する可能性のある患者のサブグループが指摘されている.