- 目 次
-
This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
July 15, 2004
Vol. 351 No. 3
ORIGINAL ARTICLES
-
HIV-1 母子感染予防を目的としたネビラピン
Nevirapine to Prevent Mother-to-Child Transmission of HIV-1タイで行われた無作為比較対照試験において,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)1 型に感染した妊婦に,ジドブジンを用いた療法に加え,ネビラピンまたはプラセボのいずれかを単回投与した.新生児への HIV の伝播率は,ネビラピン群で 2.8%,プラセボ群で 6.3%であった.また,出生直後の乳児にもネビラピンを単回投与した群では,伝播率は 1.9%であった.
ネビラピンの単回投与は,ジドブジンを用いた予防療法と併用した場合,HIV の母子感染を減少させるのに大きな効果がある. -
分娩時のネビラピン投与がその後母体に与える影響
Subsequent Maternal Effects of Intrapartum Exposure to Nevirapineタイで行われた,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の母子感染の減少を目的とした抗ウイルスレジメンに関するプラセボ対照試験への参加後,一部の女性で,ネビラピンを含むレジメンによる治療を開始した.6 ヵ月後のウイルス抑制率は,分娩時にネビラピン投与を受けた女性では,ネビラピン投与を受けていない女性よりも低かった(49% 対 68%,P=0.03).
これらの観察データは,分娩時に行うネビラピンの単回投与が,耐性変異の選択につながる可能性があることを示唆している.耐性変異は,女性のその後の抗ウイルス療法に悪影響を及ぼす可能性がある. -
甲状腺機能低下症の女性の妊娠時におけるレボチロキシンの必要量
Levothyroxine Requirements in Women with Hypothyroidism during Pregnancy甲状腺機能低下症の女性は,妊娠中,通常投与しているレボチロキシンの量をふやすべきであることが知られているにもかかわらず,生化学的にみて甲状腺機能低下が依然として生じている.この研究では,レボチロキシンの必要量が妊娠前半に平均 48%増加し,出産まで監視と用量の調整が必要であることが明らかになった.
胎児の正常な認知発達のためには母親の甲状腺機能が正常であることが重要であることを考えると,甲状腺機能低下症の女性においては,妊娠が確認され次第レボチロキシンを約 30%増量すべきである. -
B 細胞リンパ腫の微小血管内皮細胞におけるリンパ腫特異的な遺伝子異常
Lymphoma-Specific Genetic Aberrations in Microvascular Endothelial Cells in B-Cell Lymphomasこの研究者らは,免疫組織化学法と蛍光 in situ ハイブリダイゼーション法を組み合せることで,B 細胞リンパ腫に典型的な染色体異常を,リンパ腫細胞だけでなくリンパ腫内の微小血管内皮細胞にも見出した.
これらの知見は,リンパ腫細胞と血管新生とを関連付けるものである.この関連性が成り立つ仕組みが明らかになれば,リンパ腫の発生や増殖の解明は大きく前進するであろう. -
全身性エリテマトーデス患者における動脈血栓症のリスク
Risk of Arterial Thrombosis in Patients with Systemic Lupus Erythematosus動脈血栓症は全身性エリテマトーデス(SLE)の重大な合併症である.マンノース結合レクチン(MBL)は先天性免疫機構に関与する血清蛋白であるが,この研究者らは,SLE 患者に MBL の変異対立遺伝子が存在する場合,動脈血栓症,とくに心筋梗塞のリスクが増大することを明らかにした.この結果から,マンノース結合レクチンの正常な対立遺伝子は,動脈血栓性イベントの予防に役割を果している可能性が示唆される.
CLINICAL PRACTICE
-
静脈血栓塞栓症
Venous Thromboembolism静脈血栓塞栓症の既往のない 52 歳の女性が,4 日間にわたる左腓腹部の不快感のため受診した.圧迫超音波検査により近位深部静脈血栓症と診断されている.この女性の症状をどのように管理すべきであろうか?
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
-
心嚢液貯留を呈する女性
A Woman with a Pericardial Effusion女性が,胸痛と息切れのため受診した.診察と心エコー検査より心嚢液貯留と心タンポナーデが認められた.女性を入院させ,貯留液のドレン排出を行った.排出された液を培養し細胞分析を行ったが,異常はみられなかった.女性はケニアへの渡航歴があり,渡航から 5 ヵ月後のツベルクリン反応検査は陰性であったが,入院中の検査では陽性であった.