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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

January 20, 2005
Vol. 352 No. 3

ORIGINAL ARTICLES

  • うっ血性心不全に対するアミオダロンと ICD 治療の比較
    Amiodarone or ICD Therapy for Congestive Heart Failure

    うっ血性心不全に対するアミオダロンと ICD 治療の比較

    このプラセボ対照試験では,NYHA 分類 II 度または III 度のうっ血性心不全(CHF)患者において,アミオダロンと植込み型除細動器(ICD)の死亡率に対する効果を比較した.アミオダロンには全体として有益性はなく,III 度の患者では死亡率が若干上昇した.ICD 治療により全体の死亡率は減少したが,その有益性は II 度の CHF 患者に限られているようであった.これらの重要な結果により,ICD 治療の利用が広がるであろう.

  • 潰瘍出血の再発予防を目的としたクロピドグレルとアスピリン+エソメプラゾール併用の比較
    Clopidogrel versus Aspirin and Esomeprazole to Prevent Recurrent Ulcer Bleeding

    血管疾患の予防を目的としたアスピリンの投与中に,潰瘍出血をきたした患者を対象としたこの無作為試験では,クロピドグレル療法は,アスピリン+プロトンポンプ阻害薬の併用療法よりも潰瘍出血の再発率が大幅に高いことと関連していた(8.6% 対 0.7%).

    アスピリン投与中の潰瘍出血の既往がある患者にとって,クロピドグレルの単独療法は,アスピリンの代替となる安全な治療法ではない.

  • 適量のアルコール摂取が女性の認知機能に及ぼす影響
    Effect of Moderate Alcohol Consumption on Cognitive Function in Women

    過度のアルコール摂取が認知機能に有害な作用を及ぼすことは十分に立証されているが,適量のアルコール摂取の影響については明らかではない.この研究では,看護師健康調査に参加した 70~81 歳の女性において,認知機能をアルコール摂取との関連で評価し,2 年後に再度評価を行った.

    今回のデータから,1 日 1 杯までの飲酒で認知機能が障害されることはなく,実際には認知機能の低下が抑制される可能性のあることが示唆されている.

  • 正常核型の AML における細胞質ヌクレオフォスミン
    Cytoplasmic Nucleophosmin in AML with a Normal Karyotype

    急性骨髄性白血病(AML)患者から採取した骨髄生検標本を検討したこの研究では,正常核型患者の約 60%で,核蛋白であるヌクレオフォスミン(NPM)が細胞質に転移していたことが明らかになった.このような患者は変異 NPM 遺伝子をもっており,その疾患は,AML の別の亜型である可能性がある.

    NPM の機能の 1 つに,DNA が損傷を受けたさいの核内 p53 の安定化がある.細胞質内の変異 NPM を除去すれば,DNA の損傷に対する主な防御因子である,p53 への NPM の影響を打ち消すことができる.

SPECIAL ARTICLE

  • 21 世紀の医療
    Health Care in the 21st Century

    21 世紀の医療

    William H. Frist 博士は米上院の多数党院内総務であり,心臓移植外科医である.Frist 博士は第 114 回目の Shattuck 講演を行うが,これは心臓外科医として 5 人目,また,米上院議員としてははじめてのことである.Frist 博士は,2015 年の米国の医療制度に関するみずからの見通しを概説している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 頭痛,項部硬直,羞明を呈する女性
    A Woman with Headache, Stiff Neck, and Photophobia

    最近ギリシャから移住してきた 39 歳の女性が,3 ヵ月にわたり,頭痛,項部硬直,羞明,発熱の複数のエピソードを呈した.脳脊髄液には主にリンパ球と単球が含まれていた.ツベルクリン反応とブルセラ菌抗体価の結果は陽性であった.培養およびウイルス検査はすべて陰性であった.まれな未熟骨髄細胞を伴う,末梢血単球の増加が生じた.鑑別診断と管理について論じられている.

SOUNDING BOARD

  • 今日の FDA
    Today's FDA

    1992 年の米国食品医薬品局(FDA)処方薬ユーザー・フィー法と 1997 年の FDA 近代化法の通過によって,FDA の従業員数は 85%増加し,医薬品の承認過程がより効率的になった.この論文で著者は,FDA が直面している残された課題について確認している.FDA は,市販後調査を改善し,医薬品および医療機器のリスクに関する情報の伝達を円滑にし,薬品価格の抑制のための取り組みに貢献すべきであると主張している.