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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 3, 2005
Vol. 352 No. 5

ORIGINAL ARTICLE

  • 131I トシツモマブ療法と濾胞性リンパ腫
    131I-Tositumomab Therapy and Follicular Lymphoma

    <sup>131</sup>I トシツモマブ療法と濾胞性リンパ腫

    CD20 は B 細胞にのみ発現する表面蛋白である.抗 CD20 抗体は,B 細胞にのみ結合する.ヨウ素 131 で標識した抗 CD20 モノクローナル抗体により,ヨウ素 131 の崩壊を利用して B 細胞へ放射線を照射することができる.この原理を進行期濾胞性リンパ腫の初回治療に応用し,131I 標識マウス抗 CD20 抗体(131I トシツモマブ)を単回投与した.患者の半数以上で完全寛解が得られ,その大半では 7 年ものあいだ完全寛解が持続した.
    これは無作為対照試験ではないが,進行期濾胞性リンパ腫は従来の治療法では治癒しないことから,この結果は非常に興味深い.

  • 水痘による死亡率の低下
    Decline in Mortality Due to Varicella

    この全米データの分析では,1995 年に全小児を対象とした水痘ワクチン接種プログラムを実施して以来,水痘による死亡率が急激に低下したことが示されている.米国では,1990~94 年の水痘による死亡件数は年間約 145 件であったが,その後,1999~2001 年には年間約 66 件に減少した.
    このデータは,小児に対する水痘ワクチン接種により,とくに低年齢の小児において,水痘による死亡率が低下した事実を示している.

  • 両側淡蒼球深部脳刺激療法
    Bilateral Pallidal Deep-Brain Stimulation

    薬物療法に反応しない原発性全身性ジストニア患者 22 例において,両側淡蒼球刺激療法により運動・機能障害が有意に改善した.そのさい,認知や気分に対する有害な影響はみられなかった.有害事象は 3 例で発生したが,永続的な後遺症は認められなかった.
    これらのデータは,一部の原発性全身性ジストニア患者でのこの療法の実施を支持するものである.しかし,まれに発生する有害事象のリスクを評価するためには,より多くのデータが必要である.

  • プロアメリカンフットボール選手におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌
    Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus among Professional Football Players

    2003 年のアメリカンフットボールシーズン中に,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による大きな皮膚膿瘍が,あるプロチームの選手 5 人で発生した.すべての感染で同一の MRSA 株が検出され,この株は市中に広く分布していると考えられた.
    MRSA は市中感染の原因となりつつある.感染防止策の実施後,このアメリカンフットボールチームでの集団発生は解決した.

DRUG THERAPY

  • 大腸癌の全身療法
    Systemic Therapy for Colorectal Cancer

    大腸癌の全身療法

    大腸癌はもっとも多く診断される悪性疾患の 1 つであり,毎年,世界で 1,023,000 例が新たに大腸癌と診断され,529,000 人が死亡していると推定されている.この総説では,近年開発された,大腸癌に有効な細胞障害性化学療法と生物学的製剤について考察し,転移性大腸癌に対する治療薬としての,また補助療法の一部としてのそれらの使用について評価する.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 行われなかった検査
    The Unturned Stone

    行われなかった検査

    20 歳の男性が,下痢,腹痛,発熱を呈し,さらに評価を受けるため大学病院に移送されてきた.入院の 2 ヵ月前に男性は,右下腹部に間欠的な鈍痛を訴え地元の病院を受診した.そのさいに実施された結腸鏡検査では,横行結腸から盲腸にかけて斑状紅斑,浮腫,潰瘍形成が認められた.回腸末端部も炎症を起しているようであり,線状潰瘍が形成されていた.

LEGAL ISSUES IN MEDICINE

  • 家族のプライバシーと死 ― アンティゴネ,戦争,医学研究
    Family Privacy and Death - Antigone, War, and Medical Research

    患者のプライバシー権は患者の死と共に消失するが,残された家族のプライバシー権については明らかではない.Annas 氏は,プライバシー権を拡大して故人の家族を含めるという最近の裁判所の裁定について述べている.アイスランドの裁判所は,娘が,亡くなった父親に関する情報の遺伝子研究のデータベースへの組み入れを阻止できると裁定した.血縁者では患者の DNA と共通性があることを考えると,遺伝子検査が研究や臨床診療でより一般的になるにつれ,家族のプライバシーの問題に関する議論が白熱すると考えられる.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 1 型アンジオテンシン受容体に関する新しい見解
    A New Take on Type 1 Angiotensin Receptors

    最近の研究で,単球表面の 1 型アンジオテンシン受容体が活性化され,その活性化によって血管内皮にもっともよく接着できるようになるためには,トランスグルタミナーゼを介したメカニズムを通して,二量体になる必要があることが示唆されている.