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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
July 7, 2005
Vol. 353 No. 1
ORIGINAL ARTICLE
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重症の早産新生児に対する一酸化窒素吸入
Inhaled Nitric Oxide for Critically Ill Preterm Infants重症呼吸不全の早産新生児は,一酸化窒素吸入による治療を受けることがある.この治療法には,死亡率を低下させる可能性や気管支肺異形成症を予防する可能性があるが,その効果については議論がある.サーファクタント治療後も呼吸不全を呈する新生児を対象とした無作為プラセボ対照試験では,死亡ないし気管支肺異形成症の発生率に差は認められなかった.
この多施設共同試験では,より規模の小さい試験で認められた一酸化窒素吸入療法の効果を証明することはできなかった. -
一酸化窒素吸入を受けた早産児の神経発達の転帰
Neurodevelopmental Outcomes among Premature Infants Given Inhaled Nitric Oxide著者らは以前,早産児を対象とした一酸化窒素吸入療法に関する単一施設無作為試験の結果を報告しており,その中で,死亡ないし慢性肺疾患のリスクと,重度の脳室内出血および脳室周囲白質軟化症のリスクが減少したことを示している.長期追跡研究で,一酸化窒素吸入を受けた小児では,2 歳の時点での神経発達の転帰が改善することが明らかになった.
早産児を対象としたこの単一施設試験で得られた知見から,一酸化窒素吸入が神経発達の転帰にもたらす恩恵について,さらに研究を行う必要があることが示唆される. -
高リスクの本態性血小板血症に対する ヒドロキシウレアとアナグレライドの比較
Hydroxyurea Compared with Anagrelide in High-Risk Essential Thrombocythemia本態性血小板血症に伴う主なリスクは,血栓症と出血である.この大規模無作為試験では,アナグレライド+アスピリン投与患者では動脈血栓症や重篤な出血の発生率が高く,一方,ヒドロキシウレア群では静脈血栓塞栓症の発生率が高かった.骨髄線維症へ移行する割合は,アナグレライド群で高かった.
これらの結果は,本態性血小板血症を呈し血栓症のリスクが高い患者の治療に対する,臨床上の指針となるものである. -
酸化リン脂質,Lp(a) リポ蛋白,および冠動脈疾患
Oxidized Phospholipids, Lp(a) Lipoprotein, and Coronary Artery DiseaseLp(a) リポ蛋白は,冠動脈疾患の発症に関与すると考えられている.この研究は,Lp(a) リポ蛋白によるアテローム形成には,リポ蛋白に結合する炎症性酸化リン脂質が関係しているという知見を示している.
BRIEF REPORT
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一卵性双生児間の卵巣移植
Ovarian Transplantation between Monozygotic Twinsこの報告では,24 歳の一卵性双生児の姉妹において,妊孕能のあるほうから,10 年にわたる卵巣機能不全の既往があるほうへ卵巣組織を移植し,成功した例について述べている.レシピエントはその後受胎し,妊娠 38 週で女児を出産した.
CURRENT CONCEPTS
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女性の妊孕性を温存する
Preserving a Woman's Fertility妊孕性の温存を,とくに癌治療の前に希望する女性にとって,利用できる選択肢の数がふえている.そのような選択肢として,卵巣の摘出および凍結保存,胚の凍結保存,即時または排卵誘発後に卵母細胞を吸引して凍結保存する方法などがある.この論文では,卵母細胞が消失する自然な過程や,卵巣の予備能の低下に対する検査法についても説明している.
CLINICAL PROBLEM-SOLVING
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二重の危険
Double Jeopardy妊娠 34 週の 36 歳の女性が,早朝に突然起った胸骨下の激しい胸痛で目を覚まし,救急科を受診した.発汗と悪心がみられたが,呼吸困難,眩暈,失神,喀血,咳嗽,発熱はみられなかった.
CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH
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ヒト体細胞核移植の進歩
Progress in Human Somatic-Cell Nuclear Transfer胚性幹細胞の核移植によって胚盤胞を発生させる技術の効率は,14 倍以上も向上している.