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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

August 18, 2005
Vol. 353 No. 7

ORIGINAL ARTICLE

  • シロリムス溶出ステントとパクリタキセル溶出ステントの比較
    Comparison of Sirolimus-Eluting and Paclitaxel-Eluting Stents

    シロリムス溶出ステントとパクリタキセル溶出ステントは共に,何も塗布しない金属ステントと比較して,経皮的冠動脈形成術後の再狭窄リスクを減少させる.無作為試験において,血行再建術を受ける予定の患者を対象に,この 2 種類の薬剤溶出ステントを比較した.シロリムス溶出ステントのほうが,9 ヵ月の時点での重大な有害心イベントが少なかった.これは主に,臨床上および血管造影上の再狭窄率が減少した結果によるものである.

  • 糖尿病患者におけるパクリタキセル溶出ステントとシロリムス溶出ステントの比較
    Paclitaxel-Eluting Stents Compared with Sirolimus-Eluting Stents in Diabetic Patients

    薬剤溶出冠動脈ステントは,何も塗布しない金属ステントに比べ,糖尿病患者の冠動脈再狭窄発症率を低下させるうえで有効である.糖尿病患者を対象とした無作為対照試験で,シロリムス溶出ステントは,パクリタキセル溶出ステントに比べ長期間後の血管内腔狭小化の程度が小さいことが示された.このことから,再狭窄リスクも減少することが示唆される.

SPECIAL ARTICLE

  • 急性心筋梗塞の管理における性差と人種差,1994~2002 年
    Sex and Racial Differences in the Management of Acute Myocardial Infarction, 1994-2002

    この研究では,1994~2002 年における心筋梗塞後の治療および転帰を,性別と人種で比較した.白人男性と比較して,黒人男性,白人女性,黒人女性では,再灌流療法と冠動脈造影の実施率が低く,黒人女性では死亡率が高かった.1994 年と 2002 年のあいだで性差と人種差に大きな変化は認められなかった.

  • 高齢者における主な手術の実施にみられる人種の傾向
    Racial Trends in the Use of Major Procedures among the Elderly

    主な外科手技の実施率に黒人と白人で大きな差があることは,10 年以上前に実証されている.著者らは,9 種の外科手技について調査し,1992 年にみられた人種格差が 2001 年にも依然として認められることを明らかにした.

  • メディケアのマネジドケアにおけるケアの質と人種格差の傾向
    Trends in the Quality of Care and Racial Disparities in Medicare Managed Care

    メディケアのマネジドケアに登録された白人患者と黒人患者に関する 1997~2003 年の傾向を調査したこの研究では,黒人と白人の両方で,ケアの質に関する 9 つの評価項目すべてで実績が向上し,9 項目のうち 7 つで人種格差が縮小した.この知見から,すべての患者に向けたケアを向上させるための取り組みが,人種格差の解消につながることが示唆される.

MEDICAL PROGRESS

  • 成人の軟部組織肉腫
    Soft-Tissue Sarcomas in Adults

    軟部組織肉腫は,従来,広範切除術と放射線療法によって管理が行われ,化学療法は進行した症例にのみ行われてきた.しかし,集学的治療の進歩によって,このまれな腫瘍を有する患者の評価と治療は向上している.現在では,患肢温存手術や優れた放射線療法,特定の腫瘍に対する新しい補助薬が利用可能となっている.この論文では,最近の進展に重点を置きながら,軟部組織肉腫に関する現在の知見と治療法について概説している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 発熱と体重減少が持続する男性
    A Man with Prolonged Fever and Weight Loss

    40 歳の男性が,2 ヵ月にわたる発熱と体重減少のため入院した.男性は胃腸炎を発症するまで健康であったが,発症後連日,発熱,食欲不振,体重減少を呈した.腹腔鏡下虫垂切除術を施行したが,症状は残った.画像検査を繰り返し行ったところ,門脈の閉塞が明らかになった.