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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

June 8, 2006
Vol. 354 No. 23

ORIGINAL ARTICLE

  • 転写プロファイリングとゲノムプロファイリングによるバーキットリンパ腫の生物学的定義
    A Biologic Definition of Burkitt's Lymphoma from Transcriptional and Genomic Profiling

    遺伝子発現パターンの解析により,バーキットリンパ腫の分子的定義が開発された.この定義により,バーキットリンパ腫と他の成熟進行性 B 細胞性リンパ腫の区別が可能となる.遺伝子発現特性によりバーキットリンパ腫と定義されたほぼ全例に,典型的な IG-myc バーキットの転座がみられた.腫瘍にバーキットの特性が認められない患者では,染色体に複雑な変化があった場合,転帰は不良であった.

  • バーキットリンパ腫の分子診断
    Molecular Diagnosis of Burkitt's Lymphoma

    遺伝子発現パターンなどの手法を用いて,さまざまな種類のびまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫と典型的なバーキットリンパ腫全症例の鑑別が行われた.症例は,血液病理学者の専門家パネルにより確認された.バーキットリンパ腫とびまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫の鑑別は困難ではあるが,遺伝子発現パターンにより解決できる可能性がある.

  • 妊娠第 1 期の ACE 阻害薬の使用と先天奇形
    First-Trimester Exposure to ACE Inhibitors and Congenital Malformations

    この研究は,大規模なメディケイドデータベースを用いて行われた.妊娠第 1 期にアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を使用した,糖尿病でない女性の子供において,重大な先天奇形(心血管系や中枢神経系の奇形など)のリスクの有意な増加が示された(妊娠第 1 期にその他の降圧薬に曝露した乳児では増加しなかった).これらのデータは,妊娠第 1 期の ACE 阻害薬の使用は安全とは見なせないことを示している.

  • 成人のコレラ治療に対するアジスロマイシン単回投与
    Single-Dose Azithromycin for the Treatment of Cholera in Adults

    この研究では,バングラデシュの研究者らが,重症コレラの男性 195 例の治療において,アジスロマイシン単回投与とシプロフロキサシン単回投与の有効性を比較した.アジスロマイシンは有効な治療法であることが明らかになった.この研究から,コレラ菌 O1 のシプロフロキサシンに対する抗菌薬感受性の現在の閾値が,適切であるかどうかという疑問が提起される.

CURRENT CONCEPTS

  • マイクロアレイと腫瘍の遺伝子発現プロファイル
    Microarrays and Gene-Expression Profiles of Cancers

    マイクロアレイ解析は,ある腫瘍の RNA プロファイルを別の腫瘍の RNA プロファイルと比較し,腫瘍の診断および予後を決定するために用いることができる手法である.この論文では,遺伝子発現マイクロアレイについて,その原理とデータ解析法を解説し,また,この手法の長所と限界について説明する.

MEDICAL PROGRESS

  • 腎機能の評価 糸球体濾過率の測定値と推定値
    Assessing Kidney Function ― Measured and Estimated Glomerular Filtration Rate

    将来的には,糸球体濾過率(GFR)の推定値が,腎機能評価の第一手段として血清クレアチニン測定値に取って代るかもしれない.実際,多くの臨床検査室ではすでに,血清クレアチニンが測定される場合は GFR 推定値も報告されている.この総説では,GFR の現行の測定方法と GFR の推定式,そして慢性腎疾患に適用した場合の長所および短所について考察する.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 咳,呼吸困難,肺空洞病変が認められる男性
    A Man with Cough, Dyspnea, and Cavitary Lung Lesions

    34 歳の男性が,3 ヵ月間にわたる咳,呼吸困難,発熱,進行性両側性肺空洞病変,リンパ組織球浸潤のため入院した.副腎皮質ステロイドが投与されたが,症状は持続した.肺病変が大きくなり,一部が空洞化したため,再入院と診断検査が必要となった.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 抗腫瘍免疫
    Antitumor Immunity

    細胞傷害性薬剤は,細胞死を起しつつある腫瘍細胞の分子特性の発現を誘導して,抗腫瘍免疫を引き起す可能性がある.