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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

January 19, 2006
Vol. 354 No. 3

ORIGINAL ARTICLE

  • 嚢胞性線維症患者における高張食塩水の長期吸入
    Long-Term Hypertonic Saline in Patients with Cystic Fibrosis

    嚢胞性線維症患者では,この疾患に特徴的な肺機能増悪の原因と考えられる,濃厚な粘液がみられる.生理食塩水による治療に比べ,1 日 2 回,気管支拡張薬吸入後に高張食塩水を吸入する治療は,1 秒量(FEV1)の直線的な変化には影響しなかったが,FEV1 の改善と,肺機能増悪の減少および増悪期間の短縮に関連していた.

  • 嚢胞性線維症における高張食塩水
    Hypertonic Saline in Cystic Fibrosis

    高張食塩水吸入は,嚢胞性線維症患者の肺機能と増悪頻度に対して中等度の有益な効果を示す.この論文で研究者らは,この治療効果が粘液クリアランスの持続的な促進に起因することを示唆するデータを,in vivo および in vitro で示している.

  • HIV に対するテノホビル+エムトリシタビンとジドブジン+ラミブジンの比較
    Tenofovir and Emtricitabine vs. Zidovudine and Lamivudine for HIV

    この無作為化非盲検試験は,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の初期治療を目的とした 2 つのレジメン,フマル酸テノホビルジソプロキシル+エムトリシタビンにエファビレンツを併用するレジメンと,定量のジドブジン+ラミブジンにエファビレンツを併用するレジメンとを比較している.48 週を通じて,前者はウイルスの抑制,CD4 細胞の反応,試験薬投与の中止にいたる有害事象に関して優れていた.この試験は継続中のため,長期の毒性作用における差,とくに脂肪組織萎縮症と高脂血症に関する評価が重要になるであろう.

  • リンチ症候群における婦人科癌のリスク低減を目的とした予防的手術
    Prophylactic Surgery to Reduce the Risk of Gynecologic Cancers in the Lynch Syndrome

    リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸癌)の女性は,子宮体癌のリスクが高く,卵巣癌のリスクも高い.この後ろ向きコホート研究では,子宮と両側卵管卵巣の予防的摘出を受けた女性では,予防的手術を受けなかった女性と比べて,これらの癌を発症した例はなかった.こうしたリスク低減は,子宮体癌に対しては有意であったが,卵巣癌に対しては有意ではなかった.これらの結果は,リンチ症候群の女性において,癌のリスク低減を目的に,子宮と両側卵管卵巣の予防的摘出を考慮することを支持している.

MECHANISMS OF DISEASE

  • エストロゲンによる乳癌の発生
    Estrogen Carcinogenesis in Breast Cancer

    エストロゲン曝露は乳癌リスクの主な決定因子である.この論文では,遺伝毒性と変異原性を有するエストロゲン代謝産物や,ホルモンによる組織増殖の促進が,どのように乳癌の発生に関与するかについて概説している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 直腸痛を訴える HIV 陽性男性
    An HIV-Positive Man with Rectal Pain

    31 歳の HIV 陽性男性が,排便時の直腸痛と粘液膿性の直腸分泌物が 4 日間続いていると訴え受診した.男性は同性愛者で,複数のパートナーと定期的に肛門性交を行っていた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 毒性を標的にする
    Targeting Virulence

    コレラのモデルマウスに有効な治療法から,抗菌薬を開発するための新しい方法が示された.その方法は,毒性蛋白の発現を標的にするというものである.