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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

December 21, 2006
Vol. 355 No. 25

ORIGINAL ARTICLE

  • 人工呼吸器関連肺炎の診断
    Diagnosis of Ventilator-Associated Pneumonia

    人工呼吸器関連肺炎は,院内合併症の重要な原因である.この大規模多施設共同試験では,人工呼吸器関連肺炎の診断法として,定量培養を行う気管支肺胞洗浄法と非定量培養を行う気管内吸引法の 2 種類の,治療指針としての有効性を比較した.2 つの戦略の,28 日目の死亡率,全体的な抗菌薬の使用状況等の臨床転帰は同等であった.

  • 心血管イベントと死亡の予測に対するバイオマーカー
    Biomarkers for the Prediction of Cardiovascular Events and Death

    フラミンガム心臓研究の解析において,10 種類のバイオマーカーの臨床転帰予測能を評価した.これらのバイオマーカーを従来の危険因子に追加したところ,死亡と主要心血管イベントのハザード比は有意に増加したが,各エンドポイントに対する C 統計量の増加は小さかった.確立された危険因子の評価に対し,バイオマーカーの評価がもたらす付加的価値は小さいと思われる.

  • 待機的結腸直腸手術におけるエルタペネムとセフォテタンの予防的投与の比較
    Ertapenem versus Cefotetan Prophylaxis in Elective Colorectal Surgery

    セフォテタンとセフォキシチンが効かなくなってきているため,待機的な結腸直腸手術時の創傷感染の予防に有効な薬剤が必要である.この大規模な多施設共同無作為化二重盲検試験では,エルタペネムは,手術部位感染の予防においてセフォテタンよりも有効性が高いことが確認されたが,Clostridium difficile 感染の増加がみられた.

  • 軽度認知機能障害における脳アミロイドとタウ蛋白の検出に対する PET
    PET to Detect Cerebral Amyloid and Tau in Mild Cognitive Impairment

    アミロイド蛋白の蓄積による老人斑やタウ蛋白による神経原線維変化(アルツハイマー病の神経病理学的所見)に結合する低分子(FDDNP)を,PET スキャン前に被験者に注入した.FDDNP の結合は,アルツハイマー病患者でもっとも強く,軽度認知機能障害の患者で中等度,健常対照者でもっとも弱かった.この非侵襲的方法により大脳の老人斑や神経原線維変化を検出することができるが,臨床応用されるか否かは不明である.

MEDICAL EDUCATION

  • 外科技術を教える ― 風向きの変化
    Teaching Surgical Skills ─Changes in the Wind

    伝統的に,外科医の訓練と評価は,生きている患者に対する外科手術能力に基づいて行われてきた.医学教育シリーズのこの総説では,外科技術の指導と評価のための機械・装置の使用について検討している.

CURRENT CONCEPTS

  • 自己免疫性膵炎
    Autoimmune Pancreatitis

    自己免疫性膵炎は慢性膵炎の一種で,胆管,腸管,局所リンパ節,ときとして肺や腎臓にも及ぶ可能性がある,自己免疫性の炎症過程を特徴とする.このまれな病態の膵炎の患者は閉塞性の膵腫瘤を呈することがあり,これは膵臓癌に似ているが,副腎皮質ステロイド治療に反応する.この総説では,自己免疫性膵炎の診断を,画像診断,組織学的診断,血清学的診断の基準に基づいてどのように確立できるかについて要約している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 全身性エリテマトーデス,痙攣,右腕の筋力低下を呈する 24 歳の女性
    A 24-Year-Old Woman with Systemic Lupus Erythematosus, Seizures, and Right Arm Weakness

    ある女性が,痙攣と脳病変のため移送されてきた.女性には全身性エリテマトーデスの既往があり,そのため副腎皮質ステロイドとその他の免疫抑制剤の投与を受けていた.生検と培養は陰性で,広域スペクトルの抗菌薬治療と副腎皮質ステロイドの増量にもかかわらず,発熱が持続し,神経機能の低下がみられ,患者は入院 54 日目に死亡した.剖検が行われた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 蛋白質の代謝とアルツハイマー病
    Protein Turnover and Alzheimer's Disease

    アルツハイマー病のモデルマウスでは,蛋白分解を調節する分子が記憶障害に影響を与えている.