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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 31, 2007
Vol. 356 No. 22

ORIGINAL ARTICLE

  • 坐骨神経痛に対する手術と長期保存療法の比較
    Surgery versus Prolonged Conservative Treatment for Sciatica

    6~12 週間にわたり重度の坐骨神経痛を呈する患者 283 例を対象としたこの無作為化試験では,早期の顕微鏡下椎間板切除術と,必要に応じて手術を行う長期保存療法とを比較した.早期に手術を受けた患者では,より速やかな回復と下肢痛の改善が報告された.1 年の時点で両群の成績は同等であり,両群とも 95%の患者が回復を報告した.

  • 腰椎変性すべり症の治療
    Treatment of Lumbar Degenerative Spondylolisthesis

    この臨床試験では,腰椎すべり症に対する外科的治療と非外科的治療とを比較した.クロスオーバーが多数あったため,データは基本的に非無作為化し,as-treated 解析を行った.2 年の追跡調査期間中,外科的治療を受けた患者では,非外科的治療を受けた患者と比べて身体の疼痛と機能が大幅に改善した.非外科的治療を受けた患者は,経時的に中程度の改善を示した.

  • 進行性腎細胞癌に対するテムシロリムス,インターフェロン α,およびその併用
    Temsirolimus, Interferon Alfa, or Both for Advanced Renal-Cell Carcinoma

    この大規模多施設共同試験では,新たに転移性腎細胞癌と診断された予後不良の患者を対象として,テムシロリムス単独投与を,インターフェロン α 単独投与および両剤の併用投与と比較した.インターフェロン α 単独投与や併用投与と比較して,テムシロリムス単独投与は,このような高リスク患者の生存期間を中程度に改善した.

  • 尿素サイクル異常症の治療後の生存
    Survival after Treatment for Urea-Cycle Disorders

    尿素サイクル異常症は,急性高アンモニア血症エピソードを特徴とし,これまで致死的とされていた.対照群を設定しない 25 年間の非盲検試験において,この疾患に対するフェニル酢酸ナトリウムと安息香酸ナトリウムを用いた治療を検討したところ,全生存率は 84%であった.エピソードを速やかに認識し,この治療に加え,塩酸アルギニンの静脈内投与や異化を防ぐための適切なカロリー投与を行い,必要に応じて透析を実施すれば,血漿アンモニア濃度が低下し,生存率が著明に改善する.

CLINICAL PRACTICE

  • 骨量減少
    Osteopenia

    閉経後 5 年が経過した無症候の 55 歳の女性が,母親が 70 歳で大腿骨頸部骨折を起したことから骨粗鬆症を心配している.女性自身に骨折の既往はなく,副腎皮質ステロイドの服用歴もない.喫煙はしないが,1 日にグラス 1~2 杯のワインを飲んでいる.体重 105 ポンド(48 kg),身長 62 インチ(1.6 m)で,体格指数(BMI)は 19.2 である.二重エネルギー X 線吸収法を用いた骨密度の測定では,T スコアは脊椎で-1.7,大腿骨頸部で-1.5(骨量減少を示唆)であった.女性にどのような助言をすべきであろうか?

DRUG THERAPY

  • 大量出血の予防と治療
    Prevention and Treatment of Major Blood Loss

    大量出血の医療上の原因としてもっとも多いのは手術であり,とくに心臓血管手術,肝移植と肝切除,整形外科の大手術などでみられる.過剰な出血は,外傷など他の原因でも起りうる.この概説では,止血薬の有用性について検討し,とくに血栓性合併症など,関連する有害事象のリスクについても検討している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 回帰熱に加え新たに呼吸困難を発症した女性
    A Woman with Relapsing Fevers and Recent Onset of Dyspnea

    25 歳の女性が,回帰熱,頭痛,呼吸困難のため当院へ入院した.女性は 4 年前に,遺伝性球状赤血球症のため待機的脾臓摘出術を受けていた.臨床検査で白血球増加症と貧血が,末梢血液塗抹検査で赤血球内に複数の輪状体が認められた.呼吸困難は悪化し,低酸素血症が発現した.治療が行われた.