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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

November 29, 2007
Vol. 357 No. 22

ORIGINAL ARTICLE

  • 肝硬変患者の血小板減少症に対するエルトロンボパグ
    Eltrombopag for Thrombocytopenia in CirrhosisEltrombopag for Thrombocytopenia in Cirrhosis

    トロンボポエチン受容体に活性のある経口受容体作動薬,エルトロンボパグにより,健常被験者および免疫性血小板減少症患者の血小板数が増加する(本号の Bussel らの論文参照).この予備試験では,C 型肝炎ウイルスに関連する肝硬変と血小板減少症を有する患者において,この薬剤の検討を行った.エルトロンボパグには血小板数を増加させる効果があり,これにより最長 12 週間の抗ウイルス療法が可能となる.

  • エルトロンボパグと慢性特発性血小板減少性紫斑病
    Eltrombopag and Chronic Idiopathic Thrombocytopenic Purpura

    この試験では,1 回以上の治療に反応しなかった免疫性血小板減少症の患者を対象に,低分子量の非ペプチド性トロンボポエチン受容体作動薬であるエルトロンボパグの有効性を検討した.この作動薬により,健常ボランティアで血小板産生が増加することはすでに示されているが,今回 50 mg または 75 mg の用量で,大部分の患者において血小板数が臨床的に安全なレベル(50,000/mm3 以上)にまで増加した.

  • 高齢の収縮期心不全患者に対するロスバスタチン
    Rosuvastatin in Older Patients with Systolic Heart Failure

    この臨床試験では,高齢の虚血性収縮期心不全患者を対象として,ロスバスタチンとプラセボを比較した.ロスバスタチンにより,低比重リポ蛋白コレステロール値と高感度 CRP 値は有意に低下したが,心血管系の転帰は有意には減少しなかった.しかし,入院数は減少した.これらのデータから,心不全に対するスタチン療法の役割は限られたものであると考えられる.

  • 高齢患者における卵円孔開存と潜因性脳卒中
    Patent Foramen Ovale and Cryptogenic Stroke in Older Patients

    卵円孔開存の存在と脳卒中との関連は,高齢患者では確立されていない.この前向き研究では,55 歳以上の患者において,潜因性脳卒中(経食道心エコー法実施前には原因が特定されていない脳卒中)患者は,原因が特定されている脳卒中患者に比べて,経食道心エコー法で卵円孔開存が診断される頻度が高かった.このことから,卵円孔開存は高齢患者における脳卒中の原因であることが示唆される.

CLINICAL PRACTICE

  • 老年期のうつ病
    Late-Life Depression

    6 ヵ月前に妻を亡くした 71 歳の男性が,糖尿病性ニューロパチーによる足の疼痛,不眠,気力の欠如,「糖尿病をコントロール」できないことへの挫折感の増大のため来院した.診察で,興味の欠如,食欲減退,過去 3 ヵ月で 4.5 kg(10 lb)の体重減少,死んだほうがいいとときどき思っていることが明らかになった.この症例をどのように管理すべきであろうか?

CURRENT CONCEPTS

  • CT スキャン:増加する放射線曝露の原因
    CT Scans: An Increasing Source of Radiation Exposure

    コンピュータ断層撮影(CT)検査の施行数が急激に増加している.CT スキャンは単純 X 線撮影よりもはるかに放射線量が多いため,一般集団での放射線曝露が著しく増加していると考えられる.疫学研究では,2~3 回の CT スキャンによる放射線量でも,とくに小児において,検出可能なほどの癌のリスク増加にいたることが示唆されている.この論文では,この被曝形態と公衆衛生への影響に関する事実を簡潔に述べている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 心臓移植後に左室機能障害を呈した男性
    A Man with Left Ventricular Dysfunction after Heart Transplantation

    男性が,心臓移植の 1 ヵ月後,左室機能障害のため入院した.男性は 19 ヵ月前に心筋症を伴う全身性アミロイドーシスと診断され,心機能が急速に低下したため,心臓移植と骨髄移植を連続して受けた.その後,男性の心機能は正常であり,生検標本に拒絶反応はみられなかった.心エコー検査で左室機能障害が判明し,診断手技が行われた.